研究は、インド映画産業における性表現の検閲を通じ、「正しい女性」像がどのように議論・表象されているのかを検証するものである。植民地時代に策定された法規制が修正・緩和されるなか、インド映画の公開許可や作品中の性表現を討議する中央映画認証委員会では、審査員の半数を女性が占めるようになっている。本研究は、文献調査とフィールドワークを通じ、①性表象をめぐる法制度の変遷、②同委員会の構造と制度的変遷、③審査員たちの経歴と審議の経験を明らかにすることを目指す。 これまでコロナ禍で海外渡航をすることができなかったが、2022年度は8月に2週間ほどインドへ渡航することができた。インドでは①にかかわる史料の収集を実施した。1930年代のものから1980年代にかけての映画の検閲や認証基準、項目リストを入手することができた。また、現在も映画審査をおこなう際に用いられている映画認証ガイドラインの策定過程を、インド情報放送省発行の文書から分析をおこなっている。 得られた成果を元にして、2023年度中に投稿論文を作成する予定である。
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