研究実績の概要 |
シリアの隣国ヨルダンには676,60人の難民がUNHCRに登録されている.Handicap Internationalは難民の26%が何らかの機能障害を有すると報告している. ヨルダンの首都アンマンにあるシリア難民障害者支援NGOでは障害当事者が職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業を展開している.最終年度はシリア難民障害者へのアドボカシー研修、障害当事者によるジョブコーチ研修をオンラインにて、2023年4月15日から4月18日(4日間)、2023年5月20日から5月23日(4日間)、2023年6月21日から6月25日(5日間)実施した。また7月からは研修を受けたシリア難民障害者が社会参加に向けた活動を実施し、その際の課題についてインタビューを行い、収集データを質的に考察し、カテゴリー分類を行い課題背景について考察した。 本報告の調査から都市在住シリア難民障害者の就労における社会参加の課題について【活動を継続する資金が乏しい】,【地域住民の障害に対する認識が乏しい】,【障害当事者の評価が困難である】,【障害者の雇用受け入れが少ない】からなる4つのカテゴリーに分類された. 研究対象者は障害を有するにも関わらずジョブコーチとして活動を行っていた.しかし資金面,地域住民の障害に対しての認識,医療専門職からの評価,雇用先の制限などの課題があった.作業療法士は国際協力において現地ジョブコーチを連携して障害当事者の評価を行い,適切なサービスを提供できるよう協働することによりシリア難民障害者の所属コミュニティーでの社会共生の必要性が示唆された.
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