研究課題/領域番号 |
22K18085
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
板倉 和裕 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 助教 (00809212)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 現代インド / 民主主義 / マイノリティ / ムスリム / 政治運動 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、現代インドにおけるムスリムの政治運動がいかに生まれ、どのように展開しているか、そして宗教的少数派による組織的な運動がヒンドゥー多数派主義の確立を抑止する有効な手段になり得るための政治・社会的条件にはどのようなものがあるかについて考察することにある。本研究では、選挙を中心に展開する政党政治と選挙外で展開される運動の二つの動きに注目して、国内外で資料・情報収集を行っている。 一年目(令和4年度)は、国内で入手可能な文献・資料の収集を進めるとともに、本研究課題にかかる最初の現地調査を2023年3月に行った。まず、国内での文献・資料収集では、アジア経済研究所図書館を訪問し、インドの学術雑誌や社会情報誌に掲載された選挙関連の特集・分析記事の調査・収集を行った。この資料収集では、2000年代以降に実施された選挙(連邦下院選挙・州議会選挙)について、各選挙における主な争点は何であったか、政党間の競争・連携はどのように展開していたかについて調査を進めた。 次に、二年目(令和5年度)からの本格的なフィールドワークの実施に向けた準備調査のため、最初のインド出張を行った。この現地調査では、デリーとハイデラバードの二都市に滞在した。デリーではネルー図書館(Nehru Memorial Museum and Library)を訪問し、現地の学術雑誌に掲載された最近のインド政治分析論文を閲覧・調査した。ハイデラバードでは、まず、本研究課題とも関連する研究テーマに取り組んでいるインド人研究者との交流・関係構築のため現地大学を訪問した。今回の訪問で面会できた研究者とは、今後の研究活動と研究活動で得られた知見に対する客観的な意見を聞くため交流を維持していく予定である。またこの現地調査では、ムスリム・コミュニティの宗教関連施設や主な団体の所在地等を実地にて確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画調書に記載した「本研究の目的」「研究のロードマップ」等に沿って研究活動を進めることができている。研究初年度となる令和4年度は、本研究課題にかかる資料の調査・収集のため二回の国内出張(用務先:アジア経済研究所図書館)を行い、2023年3月には最初の現地調査を行った。 2010年代以降に実施された州議会選挙の分析記事を調査する中で、ハイデラバードに拠点を持つムスリム政党のムスリム評議会(All India Majlis-E-Ittehadul Muslimeen)が、近年州外への進出を積極的に行っていることが分かった。この動きに注目しながら、進出先の州においてどのような反応があり、いかなる成果を上げているのか、また進出先の州政治への影響などについて、選挙特集・報道記事を中心に資料収集を進めている。現在は、3月のインド出張により現地で入手した文献の整理・分析を行いながら、オンラインでアクセス可能な文献・データも含め、近年のムスリム評議会の動向把握のため二次資料の調査・収集を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的を達成するため、国内外で関連する資料・データの収集を継続するとともに、二年目(令和5年度)は二度の現地調査(9月と3月)を実施する。資料収集については、2010年代に実施された選挙関係の特集・分析記事および各種の社会調査結果を中心に行う。州レベルの政治動向については、特に、テランガーナ州・ビハール州・ジャールカンド州の三州に焦点を当てる。また、選挙外でのムスリムによる運動の展開について把握するため、現地新聞紙の調査を同時に行う。現地調査は、二次資料から得られた情報を補強するとともに、ムスリムによる政治運動の発生・持続の要因について説明するミクロな情報を収集するために実施する。さらに、上記の州における主な政治的話題や出来事に関する現地での解釈のされ方・反応についての理解を深めるため、現地研究者に対するインタビューを行う。 以上に加えて、研究の途中経過について第三者から客観的意見を聞くため、国内の他機関所属の研究者の協力を得ながら、国内で研究会を実施する予定である。また、収集した資料の整理・分析作業と並行して、研究活動の成果発表に向けて学会報告の申請準備・原稿執筆を計画的に進めていく。
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