研究課題/領域番号 |
22K18086
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲井 啓之 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (30807946)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 水産物フードシステム / COVID-19 / コロナ / インフォーマルセクター / 魚市場 |
研究実績の概要 |
初年度は、カメルーンの水産物フードシステムの全体像の把握と、カメルーン共和国の畜産漁業動物生産省およびマルア大学人文学部の関係者などと研究体制の確認と課題についての打ち合わせを行った。 11月には地域漁業学会において、本研究課題に関する発表を行った。それによって他国・地域における水産物フードシステムに対するCOVID-19の影響に関する議論をし、現地調査における調査項目を明確にすることができた。 2023年2月には、COVID-19がカメルーンの水産物フードシステムにおよぼす影響を解明するために、カメルーン中央州ヤウンデ市およびアダマワ州ンガウンデレ市の魚市場において調査を実施した。本年度は、政府の管轄外の商業部門であるインフォーマルセクターにおける魚の小売り市場に焦点を当てた観察および聞き取り調査を実施した。 3月にはパリ第一パンテオンソルボンヌ大学地理学部において、ジェロド・マグラン教授およびPRODIGプロジェクト研究ダイレクターのクリスティヌ・レモンド博士とともに、カメルーンおよび西アフリカ諸国におけるCOVID-19をはじめとする社会的危機がもたらす水産物フードシステムへの影響についての意見交換を行った。これによって、西アフリカ諸国におけるCOVID-19に対する水産物フードシステムの脆弱性やレジリアンスに関する知見を得ることができ、次年度における調査項目の見通しを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究体制と課題についての確認をすることができたことは、初年度の成果として大きい。また、COVID-19によって2020年より制限されていたカメルーンへの渡航が実質、解禁されたこともあり、現地でのフィールドワーク調査を実施することができた。それによって、水産物フードシステムの実態を解明することができた。そしてパリ大学での議論を通して、問題点や調査項目が明確になった。それらによって、次年度に実施予定である現地調査の見通しをたてることができた。
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今後の研究の推進方策 |
水産物フードシステムにおける重要なアクターである漁師と、彼らの魚を買い付ける買付商人との間でローカルな商慣行が存在する。彼らの中には、魚を専売する見返りとして漁業や生活のための資金を融通してもらえるパトロン・クライアント関係を結ぶ者が存在する。COVID-19のような社会的危機に置かれたときに、パトロン・クライアント関係が漁師の生計を支援するものとして機能するという仮説を検証する。 そのために、漁師と商人がむすぶパトロン・クライアント(PC)関係の実態およびCOVID-19がPC関係およぼす影響についての調査を、アダマワ州ムバカウ湖および東部州ロムパガール湖などにおいて実施する。
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