研究課題/領域番号 |
22K18101
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
崔 明姫 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60734910)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 温泉観光地 / COVID-19 / 複合災害 / 観光関連事業所調査 / 経済的影響 / 政策効果 |
研究実績の概要 |
本研究は,温泉観光地の観光関連事業所調査に基づき,新型コロナウィルスの感染拡大が観光業に与える影響を精査し,感染防止対策と経済支援策の政策効果を定量的に把握することを目的とする. 初年度は主に兵庫県豊岡市の城崎温泉観光地,熊本県人吉市,静岡県熱海市を対象に,現地調査,ヒアリング調査,観光関連事業所調査を実施し,データ収集と調査結果の統計分析を行った.1)城崎温泉観光地調査:城崎温泉観光協会と豊岡観光イノベーション(DMO)へのヒアリング調査,および宿泊施設,物産店などの観光関連事業所へのアンケート調査を実施し,事業所売上額の変動による経済的影響の実態,緊急事態宣言,Go Toトラベル事業,持続化給付金など行政政策の実施効果を定量的・定性的に分析し,業種別に考察を行った.2)熊本県人吉市と静岡県熱海市の調査:人吉市は2020年7月豪雨により,熱海市は2021年7月3日に発生した伊豆山土石流災害により被災し,両地域とも新型コロナウィルスと自然災害の複合災害による影響を受けた温泉観光地である.本年度は,現地調査と人吉温泉観光協会,熱海市観光課へのヒアリング調査を実施し,被害の特徴,経済支援策に関する情報収集を行った.また,2023年3月に両地域の観光関連事業所へのアンケート調査を実施した.調査結果は現在集計中である. 調査結果により,コロナ禍だけでなく,感染症と自然災害の複合災害による影響を受けた温泉観光地の経済的被害の特徴を考察し,国の経済支援策や温泉観光地における独自のコロナ対策や支援策の実施状況の違いについて検討した.地域の観光協会、温泉旅館組合などに調査結果に関する情報提供を行うとともに,研究成果を学会等で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに,初年度の現地調査,ヒアリング調査,観光関連事業所調査の実施によるデータの収集は順調に進んである.一方で,調査対象地を選別する際に,異なる被害による経済的影響の要因と回復の特徴を把握するために,新型コロナウィルスによる影響(兵庫県豊岡市城崎温泉)に加え,コロナ禍と自然災害の複合災害の影響を受けている温泉観光地(熊本県人吉市,静岡県熱海市)を対象とした.3つの地域の観光関連事業所に対するアンケート調査を実施し,直接被害の状況,売上額への影響,経済支援策の効果を明らかにすることで,感染症による影響だけでなく,感染症と自然災害の複合災害が発生した場合の観光業関連事業所の経済活動と政策上の課題を把握し,今後も同じような被害が発生した場合の効率的な対応と有効な復興政策,経済支援策に関する有益な知見を得ることが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,城崎温泉観光地(自然災害の影響なし),熱海市(土石流災害による中心部への直接被害はないが,経済的影響を受けている),人吉市(豪雨による観光地の直接被害が深刻である),3つの温泉観光地に対する調査を継続的に行うとともに,新型コロナウィルスによる影響に加え,感染症と自然災害の複合災害による観光業の経済的影響,回復の状況,及び観光支援策の効果について定量的・定性的に分析し,被災状況や地域特性,アクセス状況,観光支援策等の違いによる観光業回復の実態と政策上の課題を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年3月に実施したアンケート調査に関連して,年度末の学内財務・会計処理の時期と重なり,調査票回収に伴う一部の後納郵便料金と,督促はがきの送付業務依頼費用等は2023年4月の執行となった.次年度使用額は2023年4月中にすべて執行できたため,ほぼ当初計画通りに助成金を使用することができる.
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