本研究では、東アジアの軍港都市が、戦争記憶の断絶と連続のなかでどのようなプロセスを経て観光地化されるているのかを明らかにした。広島県呉市、台湾高雄市、韓国鎮海市(現、昌原市)の3つの軍港都市を対象とするフィールド調査から、戦後のナショナリズム、地政学的要因、また最近では少子高齢化による観光政策など様々な社会的・政治的要因が、ナショナルとローカルな戦争記憶の継承とのせめぎあいの中で、それぞれの地域における独特な観光地化が行われていることが明らかになった。さらに、そのプロセスの中で、大衆文化が重要な役割をしていることも明らかになった。
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