• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

セクシュアリティをめぐる差別・抑圧の相克に向けた交渉戦略モデルの構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K18116
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

元山 琴菜  北陸先端科学技術大学院大学, グローバルコミュニケーションセンター, 講師 (60813243)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード非異性愛者 / 差別 / マイクロアグレッション / アライ
研究実績の概要

本研究は、日本社会において非異性愛者が経験する捉えづらい差別の在り方を検討するものである。このような差別は「マイクロアグレッション」(以下、MA)と呼ばれており、発信者に悪意や意図がなく、それゆえ、捉えづらく・言葉にしづらい差別の在り方として知られている。本研究では、1)MAを現代の日本社会に則して理論化し、さらに、2) MA被経験者と発信者との公平な関係性の構築に向けた交渉戦略モデルの構築を目的としてきた。その目的に沿い、非異性愛者への聞き取り調査やセクシュアルマイノリティに関連するイベント等への参与観察を含むフィールド調査を行い、分析を進めてきた。さらに、今年はアジアで初めて同性婚を法制化した台湾でのフィールド調査も実施でき、LGBTQ+の議論の進み具合とMAの関係性や意義についても考察することができた。
これまでの研究から、MAを経験してもほとんどの人が何もできないことが確認され、さらに、MAの発信者と受信者は非対称な権力関係が社会構造上存在することが明らかになった。さらに、昨年度示唆されたセクシュアルマイノリティ支援者を指す「アライ」と非異性愛者間で理解の齟齬が生まれる可能性が示唆されたため、本年度はこの分析も行った。その結果、アライの言動の限界と課題が見えてきた。MAのように見えづらく・捉えづらい差別を低減させるためには、支援者である「アライ」がそれに気づき、介入する必要性が確認できた。「アライ」がMAにいかに関わっていくかを明らかにすることで本研究の目的2)が達成できる道筋ができたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度、新型コロナの影響もあり、想定していた数の聞き取り調査ができなかった。本年度は、十分な数の聞き取り調査を終え、分析に必要なデータが収集できた。
さらに、韓国でのフィールド調査を実施予定していたが、台湾でのフィールド調査に変更した。変更した理由は以下の通りである。まず第一に、MAは社会がLGBTQ+コミュニティに対する社会的理解が促進された社会でより生じやすいという特徴を持つ。その点、台湾はアジア初同性婚を法制度化した社会であることから、今後日本社会が経験しうる状況を推測する上で適切だと判断されたためである。さらに、台湾において非異性愛に対するMAに関する既存研究がすでにあり、一定の研究の蓄積があると見込まれるためである。よってフィールド調査地の変更は、本研究の目的を達成する上でより有益だと判断された。

今後の研究の推進方策

初年度と本年度に収集したデータを基に分析を深める。さらに、台湾での調査も継続して実施し、日本社会に則したMAを理論化することを目指す。そのため、分析内容のブラッシュアップのため学会発表や論文執筆、研究会の実施する。

次年度使用額が生じた理由

海外でのフィールド調査が韓国から台湾に変更になったことで、通訳にかかる謝金の発生が抑えられたため。台湾調査の継続にあたり、謝金ならびにRAの雇用を検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 「家族」を手放し、生きる基盤をつくる実践――非シスジェンダーヘテロセクシュアルを生きる「親子」の生活史から2023

    • 著者名/発表者名
      元山琴菜
    • 雑誌名

      家族社会学研究

      巻: 35 ページ: 62-75

    • DOI

      10.4234/jjoffamilysociology.35.62

    • オープンアクセス
  • [学会発表] マイクロアグレッションに対するアライの戦略的介入方法:「マイクロインターベンション」の概念整理から2023

    • 著者名/発表者名
      元山琴菜
    • 学会等名
      日本社会学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi