研究課題/領域番号 |
22K18133
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
澁谷 達則 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (50874525)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 誘電体加速 / レーザー / レーザー加工 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はレーザー化学エッチング加工技術を独自に展開することで、マイクロスケール加速構造を成形し、将来のテーブルトップ量子ビーム源の基盤となる高電界な完全光駆動電子加速を実現することである。 研究初年度は、自主開発した中赤外OPAレーザー光源の光波長の最適化とレーザー加工による加速構造材料の加工を実施した。中赤外OPAレーザー光源の光波長の最適化では、当初問題となっていたビームプロファイルと出力を高出力化することに取り組んだ。ビームプロファイルの問題は光パラメトリック用非線形結晶の前段において白色光を発生するサファイア結晶の損傷という問題がありこれを最適化した。最適化としては、サファイア結晶の長さを徐々に変えながら光波長を計測するというもので、その結果7mm以上、入射のビームプロファイルを4mm以下にすることで、サファイア結晶での損傷を抑制しつつも発生する白色光を可能な限り長波長(約1400nm)まで生成でき、加速励振光の性能改善につながる結果を得られた。 次に、レーザー加工による加速構造材料の加工では、まず赤外線領域の光透過性に優れた単結晶フッ化カルシウムを選んで加工を行った。損傷閾値からその100倍程度までの出力を用いて光照射を行ったところ、自己位相変調によるクラックの進展が損傷閾値の10倍以上の領域で明確に見られた。また、光照射によってボイドが形成されるとその周辺部は加工が促進しないという現象が見られた。これらの特性については今後調査し、対策を検討してゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中赤外線の調整に時間を要していたため、当初予定していた軸対称偏光の中赤外線の計測に至っていないが、今後、この測定を行う目処はたっている。また、当初2年目に、 加速原理実証装置の一部として電子ビームをエネルギー分析するための電極と加速構造を取り付けるための治具構造を設計・製作する予定であったが、これを前倒しで作製することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度内に、いくつかの材料に対して、光プロセスを実施し、いくつかの材料において必要とされる誘電体加速構造の試作することができた。これをもとに、加速器システムを完成させ、ビーム加速器システムを用いた実験へと発展させる。
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