研究課題/領域番号 |
22K18155
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
ROTH Martin 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (80867143)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デジタルゲームコミュニティ / 遊び / あつ森 / デジタル・ヒューマニティーズ / 実況動画 / 言語圏間比較 / ユーチューブ |
研究実績の概要 |
遊びは、既存の枠組みに規定・制御されながらも、固定化されない逸脱的な側面を持つ行為として、デジタル化した社会・文化において重要である。本研究はその重要性を理解するために①遊びと日常生活との融合、②遊びの動画配信プラットフォームでの展開、③遊びがプラットフォームにおける共同体形成で果たす機能を問う。動画配信プラットフォームYouTubeで人気ゲーム『あつまれどうぶつの森』(任天堂2020)に関して日英韓中国語圏で共有される動画を対象に、ステップ1(データ取得)、ステップ2(動画内容とユーザーネットワークの言語圏比較分析)、ステップ3(ユーザーコメントの分析)、ステップ4(動画内容と具体的なユーザー反応)ステップ5(考察、成果発表)をもって研究を進める。 2022年度では、本研究のステップ1(データ取得)、ステップ2(言語圏分析)、ステップ3(ユーザーコメント分析)に取り組んだ。データ取得(ステップ1)について方法論的な問題を特定・解決しながら、diggr pygをカスタマイズし、必要なデータの取得が可能になった。また、動画内容の類型化、及び言語圏比較(ステップ2)を一側面において行い、現時点での結果を[1](出版予定)でまとめている段階である。ステップ3のマイクロ分析においては一部の内容に取り組み、コロナ禍における動画共有・視聴という側面について考察を行い、[2]で報告した。 [1] Roth, Martin. forthcoming. 「Playing with Animal Crossing: New Horizons. A comparison of game-related video practices in the Japanese, Korean and Chinese YouTube space」. The Handbook of Japanese Games. Tokyo: Japan Documents Publishing. [2] Roth, Martin. 2022. 「Reclaiming Everydayness and Japanese Cultural Routines in Animal Crossing: New Horizons」. Journal of Intercultural Studies 43 (6): 722-739.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたステップ1からステップ3まで取り組むのにとどまらず、方法論的な課題を明らかにし、早い段階から取り組み始めた点、予測していた以上に早く成果の一部を論文化(ステップ5)に取り組むことができたことから、当初の計画に対して、一部予測以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これからは計画通り、ステップ3を進めながら、執筆中の論文[1]を完成させ、方法論的問題について考察を深めて発表する予定である。これまでの成果を、学会発表という形で、Digra2023とReplayingJapan2023で報告する予定である。また、方法論的課題を踏まえて、視野をあつ森というケースから、他のゲームに広げることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ステップ1において、方法論的課題が生じたことで、プログラミングの進展が予測より遅く進んだことが主な原因で、2022年度予定していた予算が使い切れていないが、2023年度の早い時期に進めることにする。予測以上の成果がすでにあることを踏まえ、2023年度には、計画より早く学会などで成果を発表する計画を立てている。
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