研究課題/領域番号 |
22K18161
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金子 宜之 日本大学, 医学部, 助教 (50774147)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 自発的行動 / マイクロスリップ |
研究実績の概要 |
本研究では、当初、統合失調症患者の行動選択に関わる潜在的過程を推定するために、行動学的手法と筋電データを組み合わせる予定であった。しかし、申請時と比較して研究予算が少額となったため、筋電反応を行動実験と同期して評価することが現状では困難となった。そのため、当初予定していた行動課題を別の行動課題と組み合わせることで、統合失調症患者の行動特性を評価することとした。予定していた行動課題は、1)決められた時間に二つのボタンのどちらを押すかを自分で選ぶ条件(ボタン選択条件)、2)自由な時間に決められたボタンを押す条件(時間選択条件)、3)決められた時間に決められたボタンを押す条件(強制条件)という3条件のボタン押し課題である。2022年度において、この課題を実行するためのソフトウェアを購入し、課題を作成した。課題をプログラムし、健常者において実験プログラムが問題なく作動することを確認した。 本研究では、上記の課題に加え、マイクロスリップ現象を評価するための課題を実施することとした。マイクロスリップとは、日常的活動においてしばしば観察される、軽微な行為の淀み現象である。行為中に運動の停止、軌道や手の形の変化、対象を一時的に触れたり掴んだりする運動などがマイクロスリップに含まれる。この現象を評価するために、Naturalistic Action Testと呼ばれる課題が一般に用いられる。この課題は、トーストとコーヒーを作成する課題、プレゼントをラッピングする課題、子供のランチボックスとスクールバックを準備する課題の三つの下位課題から構成される。現在、この課題のセットアップが終了し、健常者において問題なく実施できることを確認した。 現在、この二種類の課題を実施する研究の計画書を作成しており、来年度の前半には当院の倫理委員会に申請する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、当初、統合失調症患者の行動選択に関わる潜在的過程を推定するために、行動学的手法と筋電データを組み合わせる予定であった。しかし、申請時と比較して研究予算が少額となったため、筋電反応を行動実験と同期して評価することが現状では困難となった。そのため、上記のように研究計画を見直す必要があり、研究計画に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、統合失調症患者の行動選択に関わる潜在的過程を推定するために、Naturalistic Action Testと呼ばれる課題を実施することとした。被験者がこの課題を実施するときの行動を評価するために、被験者の行動を動画で撮影する必要がある。今後は撮影用のカメラを購入し、行動評価の方法を確立する必要がある。前期中に行動評価法を確立し、倫理委員会の許可を得た上で後期から実験を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、当初、統合失調症患者の行動選択に関わる潜在的過程を推定するために、行動学的手法と筋電データを組み合わせる予定であった。しかし、申請時と比較して研究予算が少額となったため、筋電反応を行動実験と同期して評価することが現状では困難となった。そのため、当初予定していた行動課題を別の行動課題と組み合わせることで、統合失調症患者の行動特性を評価することとした。現在、新たな行動課題が決定しており、行動解析に必要なカメラやソフトウェアの購入を次年度に行う予定である。
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