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2022 年度 実施状況報告書

ケージド化合物と光パターン形成を利用した心筋Ca濃度の制御と不整脈発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K18174
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

望月 健太郎  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50868768)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード不整脈 / 心筋Ca / ケージド化合物 / 光パターン形成
研究実績の概要

本研究では、ケージド化合物と光パターン形成技術を利用して心臓局所におけるCa2+濃度を制御し、Ca2+過負荷に起因する不整脈発症機構の解明を目指す。当該年度は、検証用光学システムの構築と、単離培養心筋細胞層を対象にした心筋組織内局所におけるCa2+過負荷の生成およびその前後における興奮伝導様式の変化の有無を検証した。
検証用光学システムは、紫外LED光の円形照射領域の座標と面積を制御可能な照射光学系と、マクロズーム顕微鏡を基盤とした蛍光検出系から構成され、試料面上で直径約3~9mmの円形領域に及ぶ紫外光照射と同時に、最大視野約1,500平方mm・最大画素数376x252pixels・最大撮像速度400frame/secondの条件でCa2+蛍光イメージングが可能であった。
検証用光学システムを用いて、ケージドCa2+(DMNPE-4/AM)およびCa2+濃度蛍光指示薬(Fluo-8/AM)を負荷した単離培養心筋細胞層を対象に紫外光照射を行ったところ、紫外光照射領域においてのみCa2+濃度の上昇が認められ、局所的なCa2+過負荷の生成を実験的に再現できた。また、心筋細胞層の静止期(電極刺激の非駆動下)では生成した局所Ca2+過負荷領域からのCa2+トランジエントの発生(異常興奮の発生に相当)が、また電極刺激による興奮下ではCa2+興奮伝導波が局所Ca2+過負荷領域において遅延する様子がそれぞれ認められ、局所Ca2+過負荷に伴う興奮伝導様式の変化の一部が実証された。
ケージド化合物を利用した心筋組織局所Ca2+過負荷の再現とそれに伴う興奮伝導様式の変化を捉えた本研究成果は、当該年度において国内外の学会で研究報告を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度における研究実施項目であった光学システムの構築と評価、および単離培養心筋細胞層を用いた局所Ca2+過負荷の生成とその前後における興奮伝導様式の変化の検証につき、それぞれ進捗が得られた。
ただし光学システムの構築については、当初の計画ではデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)による光パターン制御機能の実装も予定していたが、当該年度における急激な円高と世界的な半導体不足などの予期せぬ事情によりDMDの納期に大幅な遅れが生じたため、やむを得ず検証用に限定した光学システムを構築して評価を進めた。
検証用光学システムを用いた場合でも、当初の達成項目として設定した心筋組織局所におけるCa2+過負荷の生成とそれに伴う興奮伝導様式の変化を実証できたため研究の遂行に大幅な遅れはなく、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は、DMDを利用した光パターン制御機能の光学システムへの実装、ラット摘出心を対象とした局所Ca2+過負荷の生成と興奮伝導様式変化の再現、および不整脈を生じるCa2+過負荷の空間的条件の探索を段階的に実施する。
光パターン制御機能の実装では、当該年度に購入したDMDを光学システムに組み込み、光パターン制御能の評価を行う。
ラット摘出心を対象とした検証では、単離培養心筋細胞層を対象として蓄積された試料条件および光学的条件を基に局所Ca2+過負荷の生成の可否と興奮伝導様式の変化の有無を調査し、必要に応じて諸条件の最適化を行う。
上記項目から得られる結果を踏まえ、ラット摘出心において不整脈が誘発される局所Ca2+過負荷の空間的な条件(領域の形状や大きさなど)を精査し、不整脈発症機構の一端の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

光学システムの構築につき、主要部品であるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の納期が当該年度における急激な円高と半導体不足などの事情により大幅に遅れたため、DMDの実装を着手した後に購入を予定していた光学部品類の購入を次年度に延期した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Local flash photolysis of caged Ca2+ provokes alterations of impulse generation and propagation of cardiac tissue2022

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Mochizuki, Yuma Morishita, Shoko Tamura, Hideo Tanaka
    • 雑誌名

      Proceedings of SPIE

      巻: 12216 ページ: 122160C

    • DOI

      10.1117/12.2633241

  • [学会発表] Local flash photolysis of caged Ca2+ provokes alterations of impulse generation and propagation of cardiac tissue2022

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Mochizuki, Yuma Morishita, Shoko Tamura, Hideo tanaka
    • 学会等名
      SPIE Optics+Photonics (post-conference option)
    • 国際学会
  • [学会発表] 心筋組織局所におけるケージドCa2+光分解によるCa2+動態変化と興奮伝導異常2022

    • 著者名/発表者名
      望月健太郎、田村昌子、森下祐馬、原田義規、田中秀央
    • 学会等名
      第63回日本組織細胞化学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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