研究課題/領域番号 |
22K18176
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
塚原 彰彦 東京電機大学, 理工学部, 助教 (40806030)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 確率共鳴現象 / FPGA / LVDS / 表面筋電位 |
研究実績の概要 |
現在までに,時分割多重化した確率共鳴現象に基づく回路の設計・試作を行った.試作した確率共鳴回路は,任意のディジタル回路を構成可能なLSIであるFPGA(Field programable gate array)を用いて,この中に組み込まれたデータ通信に使用されるLVDS(Low voltage differential signaling)用の素子とカウンタ回路等により構成した.LVDS用素子を比較器として使用し,測定対象の信号と外部から印加したノイズを比較し,信号とノイズの比較結果を積分(出力結果の1ビットを高速にカウント)することで,アナログ信号をディジタル信号に変換する.試作では,生体信号等の低周波数の信号を対象として,サンプリング周波数が1 kHz程度となる回路を構成した. 試作した回路の評価を,発振器を用いて行った.信号として正弦波電圧と,ホワイトノイズを発振器より印加し,試作した回路で得た波形と,理想的な正弦波との相関係数と決定係数を計算した.信号の振幅が1 mVrmsの場合でも,相関係数と決定係数は0.9以上の高い相関のある波形を得ることを確認した.また,生体信号計測への応用として,試作した回路に外付けの増幅回路を付加し,表面筋電位を計測した.USBオシロスコープでも同時計測を行い,試作した回路で得た波形とオシロスコープで得た波形との相関係数と決定係数を計算した.その結果,0.9以上の相関係数及び決定係数の波形を,試作した回路で得られることを確認した.これらの結果より,試作した回路の生体信号計測への応用の可能性が示唆された. 今後は,さらなる性能の改善を行うと共に,適用限界を明らかにすることや,ΔΣ変調技術を適用することで改善があるか等の検討を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FPGA内のLVDS用素子とカウンタ回路から構成される時分割多重化した確率共鳴現象に基づく基本的な回路を試作し,1 mVrmsの信号の検出が可能なことを確認した.また,外付け回路を付加して,生体信号として表面筋電位の計測を行い,試作した回路で計測可能なことを検証した.
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今後の研究の推進方策 |
確率共鳴現象に基づく回路の基本的な回路設計が完了したため,今後は,性能改善と共に,ΔΣ変調技術の適用などを試みる.現在,1 mVrmsの信号検出が可能であるが,信号検出可能な適用限界についても,実験的に検討する.また,生体信号として表面筋電位よりも微弱な脳波等の信号の検出が可能か実験的に検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,計画時に購入を検討していた備品(基板加工機)が,高価であり,再度,実用十分な機種に選定し直したためである. 使用計画については,実験にかかる消耗品等の物品費としての使用を予定している.
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