研究課題/領域番号 |
22K18191
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
中牟田 侑昌 崇城大学, 工学部, 助教 (30825766)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電力特性 / 力学特性 / 骨構造解析 / CT-FEA / インプラント設計 |
研究実績の概要 |
本研究は,世界的に新規性が高い積層ハイドロゲル電池のさらなる高出力化,力学特性や生体適合性の解明を行い,その後,得られた指標から人工発電器官を有する新型インプラントの設計・開発システムの確立を行うことが目的である.令和4年度は,これまでの研究成果を踏まえつつ,まず積層ハイドロゲル電池の作製及び高出力化に取り組む.ゲルの厚み等が電池の出力に及ぼす影響を検討することで高出力が持続する電池の作製法を確立する.また,各ゲルの力学試験も並行して行い,力学特性を解明する.そして,得られた結果から骨用インプラントへの適用方法について検討し,CT画像を利用したFEA(CT-FEA)による設計法の確立に取り組む. 研究計画のもと研究を行った結果,ゲルの作製方法を改善したことでより形状安定性に優れたゲル電池の開発に成功した.先行研究と同等以上の電力特性が確認できており,従来の医療現場で使用されている生体電池に匹敵する電力特性も示されている.また,作製方法を改善したことでゲル電池に使用されている4種類のゲルの力学特性も大きく向上した.圧縮力学試験を行ったところ,厚さ5㎜のゲルを4.8㎜まで圧縮しても破断には至らず,また,除荷後に形状が復元する能力も優れており,非常に良好な柔軟性や限界圧縮応力が示されている.生体内における力学的環境に対して優れた柔軟性を発揮し,形状安定性も優れると考えられる.そして,骨構造解析ソフトウェアを使用し,3次元骨モデルを用いて有限要素解析(CT-FEA)を行い,骨用インプラントの設計や生体電池としてのゲル電池の適用方法について検討を行った. 上記のようにおおむね順調に研究活動を遂行できており,研究対象である積層ハイドロゲル電池の幅広い有効性が示されていると考える.引き続き研究活動を遂行しながら新型インプラントの設計・開発システムの確立を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに先行研究を参考にゲル電池の作製に成功し,ゲル電池の構造と電力特性の関係性や力学特性を解明することができていた.しかし,ゲル電池を構成するゲルがゲル化の段階で形状が安定せず,電力特性や力学特性の面で課題が残る結果となっていた.そこで,令和4年度においては,当初の研究計画に基づき研究を進めつつ,並行してゲル電池の作製方法の改善に取り組んだ.その結果,ゲル電池を構成する4種類(高塩分,低塩分,陰イオン選択,陽イオン選択)のゲル全ての形状安定性が向上し,電力特性や力学特性の向上を実現した.先行研究よりも優れた電力特性が確認できており,また,厚さ5㎜の試料を4.8㎜まで圧縮しても破断に至らないという非常に良好な力学特性が示されている.そして,医療機関から患者さんのCT画像データを入手すると共に骨構造解析ソフトウェアであるMECHANICAL FINDERを用いて,3次元骨モデルを用いたCT-FEAによる骨用インプラントの設計や生体電池としての適用方法について検討を行った. COVID-19の影響により,一部の国際会議での研究成果の発表が行えなかったものの,国内会議において研究成果を発表することができており,研究内容について議論することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,積層ハイドロゲル電池の高出力化や力学特性の解明,骨用インプラントの設計を行い,生体適合性について解明し,人工発電器官を有する骨用インプラントの開発を継続する予定である. 作製方法を改善したことで従来の生体電池に匹敵する電力特性が確認されたため,ゲル電池の接続方法についてもより詳細に検討を行い,電力特性の維持やさらなる向上も目指したいと考える. また,現在研究しているハイドロキシアパタイトとβ-tcpで作製した担体に骨芽細胞を播種し,最長28日間の細胞培養実験を行い,ゲル電池の改良が骨形成に及ぼす影響について検討する.先行研究において,電気的刺激による細胞増殖能の向上が示されており,開発したゲル電池による電気的刺激が骨形成能や細胞増殖能に及ぼす影響について評価したいと考える.そして,圧縮力学特性だけでなく,曲げ試験や引張試験等も実施し,より詳細な力学特性を解明し,ゲル電池を有する骨用インプラントの生体内への適用方法について検討する. 得られた結果をもとに学会発表や論文発表,特許出願・取得を行い,動物実験や臨床応用を考慮した令和5年度以降の研究計画を立案し,研究費の申請や臨床応用について検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
OVID-19の影響により、参加予定であった国際会議が中止となり,当初の予定よりも参加費や旅費の支出が抑えられた.しかしながら,国内においては,国内会議における発表を行うことができており,研究者間での意見交換等を実施し,情報収集体制の強化を図ることができている.研究活動もおおむね当初の予定通り順調に進み,研究データに関しては予定以上に得られているため,今後も研究成果の発表を積極的に実施し,研究者間での意見交換も実施していきたいと考えている.
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