研究実績の概要 |
・令和4年度【可視光LED使用した有機光触媒による糖やペプチドへのポリマー付与検討】 405nm可視光LEDを使用し、申請者が最近の研究で発見した有機光触媒ジベンゾクリセン (DBC)およびジシアノベンゼン(DCB)を用いて糖カルボン酸やペプチドのカルボン酸部分を 起点にアルキルラジカルを生成させ、アクリル酸モノマーを用いてポリマーを付与する技術の確立を行った。具体的には、糖骨格カルボン酸やバリンなどのアミノ酸やジペプチド(10mM)を用いてDBCおよび1,4-DCB(2mM)、モノマー(1M)存在下、アルゴンガス雰囲気下で18WBlueLED光(可視光)を2時間照射し光脱炭酸させポリマーを得た。モノマーとしてはアクリル酸エチル、アクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸メチルなどのアクリル酸モノマーや、アクリロニトリルが適応でき、それぞれの対応するぽりまーが得られた。また、それぞれ分子量10000~30000程度のポリマーが得られた。また、光触媒の種類や濃度を様々実験したところ、光触媒の濃度を高くしたり、逆電子移動が速いジシアノナフタレンやジシアノアントラセンの使用により、比較的分子量が小さいポリマーが得られることが分かった。このことより、光触媒の濃度や種類によって分子量を調整できることが明らかになった。 また、光脱炭酸反応が想定している反応機構で進行しているか確認するために、モノマーをアミノ酸やペプチドに対して当量加え様々な実験を行った。結果として、想定している反応機構により、光脱炭酸反応が進行していることが明らかになり、次年度に計画している選択的合成の糸口を得た。 この結果は、査読あり学術論文誌のEuropean Journal of Organic Chemistry, 2022, e202201225.に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に開発目標としていた【可視光LED使用した有機光触媒による糖やペプチドへのポリマー付与検討】は実験により明らかにすることができ、様々な反応基質や、適応できるモノマーについても明らかにすることができた。また、光触媒の種類や濃度についても十分に実験することができ、分子量の調整ができることが分かった。また、反応機構においても、低分子単位で明らかにすることができ、国際的な学術論文誌[Visible-light-induced Decarboxylative and Deboronative Radical Addition to Alkenes in Two-Molecule Photoredox System Using Dibenzo[g,p]chrysene M. Yamawaki, R. Hashimoto,Y. Kawabata,M. Ichihashi, Y. Nachi, R. Inari, C. Sakamoto, T. Morita, Y. Yoshimi. European Journal of Organic Chemistry, 2022, e202201225.に掲載され、本研究の基盤となる研究をすることができた。 上記より、おおむね順調に進展している。
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