研究課題/領域番号 |
22K18211
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 真太郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 特任研究員 (30912232)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯科治療 / 医療安全 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
今年度の研究においてはまず、実際の診療を複数のカメラで記録し蓄積するデータベースの構築を行い、電子カルテシステムを参照することで処置内容を確認できるシステムの構築を行った。このシステムは患者の個人情報に配慮し、同意の得られた患者の診療中のみ映像を記録し、それ以外の場合は映像を記録しないよう、患者に合わせて半自動でシステムの動作を制御する仕組みを実装している。このシステムにより、診療中の術者・患者の動作、口腔内の様子、使用する器具の状況を半自動で蓄積可能となった。 器具を置く台を写した映像に対して処置の特徴を取り出すために、一般物体認識モデルであるYOLOv4およびYOLOv7で器具を高確率に検出するための効率的なアノテーション手法について研究を行い、「An efficient annotation method for image recognition of dental instruments」のタイトルでScientific Reportsへ掲載された。この方法を用いてトレー上の映像を、器具の種類とその個数を示す時系列情報に変換し、う蝕処置、歯周処置、根管貼薬処置、根管充填処置の4種の診療内容を分類する手法の研究を行っている。この時系列情報に対して従来から一般的に用いられる再帰ニューラルネットワーク(RNN)の一種であるLSTMをそのまま用いても焼く50%程度でしか診療内容を分類することができないが、RNNを用いないニューラルネットワークを用いることで、高い精度で分類できることが明らかとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画における最初の段階の、診療を自動で記録しサーバーへ保存するシステムの構築を行うことができた。これにより本研究の基本である、診療映像の蓄積を円滑に行えるようになった。 現在はまだ映像を蓄積している段階ではあるが、蓄積した映像のうちトレー上の映像から器具の時系列データに変換する手法の確立を行い、これにより得られた診療中の器具の時系列情報から診療内容を推定できる可能性が得られたため、概ね順調に研究は進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
診療を映像で記録し保存するシステムの構築は完了したが、術者が診療中に誤って記録を中断してしまう事象が発生している。これについては、術者の診療機器操作に依存しない記録開始・終了推定方法について現在検討中である。 術者および患者の全身の動きを映像で記録することができているため、今後は双方の関節点の動きおよび口腔内での器具の操作の時系列データの解析を進めていく。既存の関節点推定方法では診療中の歯科医師の個人防護具の装着により精度が低下することが本研究で明らかになっているので、その解消方法を検討している。 今後は術者の動作映像を、トレー上の器具が変化した点で区切ることで、術者の動作を細分化し、蓄積された時系列データの分類を行う。同一内容と分類された時系列データを術者間で比較することで、処置における術者間の特徴の差異の定量化を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であったデータサーバをよりコストパフォーマンスのよいものに変更したことで次年度使用額が生じた。 次年度使用額を用いて、蓄積した診療映像の変換および時系列データ解析のための計算機購入に充てる予定である。
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