研究課題/領域番号 |
22K18218
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
影山 彩織 帝京大学, 薬学部, 研究員 (70933068)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リピッドバブル / 超音波照射 / 腫瘍組織移行量 / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
リピッドバブル(LB)と超音波(US)照射の組み合わせによる薬物送達能を検討するため、PAN02担がんマウスに対し、LBとUS照射による処置を行い、ゲムシタビン(Gem)の腫瘍組織移行量について検討した。なお、C57BL/6Jマウスの右背部にPAN02細胞(2×10^6 cells/Mouse)を皮内移植した。マウスを無作為にGem (30 mg/kg)単独投与群、Gem+LB+US (Gem投与後、さらにLBへの超音波照射による処置)群に分けた。腫瘍体積200~500 mm3の担がんマウスにGem投与後、LBの投与を4回、2.5分間隔に投与し、腫瘍にUSを照射(GE LOGIQ E9、MI 0.2)した。処置から4時間後に腫瘍組織を回収し、Gem移行量を測定した。その結果、Gem+LB+US群の腫瘍組織移行量は、Gem単独投与群より3.7倍多くGemが腫瘍組織へ移行した。次に、PAN02担がんマウスに対し、LBとUS照射による処置を行い、抗腫瘍効果を検討した。C57BL/6Jマウスの右背部にPAN02細胞を皮内移植した。移植から21日後、マウスを無処置群、Gem単独投与群、LB+US (LBとUS照射の併用)群、Gem+LB+US群に群分けした。Gem単独投与群は、Gemを尾静脈内投与した。LB+US群は、LBの投与を4回、2.5分間隔に投与し、腫瘍にUSを照射した。Gem+LB+US群は、Gemを投与後、LBの投与を4回、2.5分間隔に投与し、腫瘍にUSを照射した。治療方法は、PAN02細胞移植後21日目を治療開始日とし、7日おきに計3回行った。抗腫瘍効果は、腫瘍体積を指標に評価した。その結果、Gem+LB+US群は、無処置群とGem単独投与群と比較し、顕著な抗腫瘍効果が得られた。また、LB+US群は、無処置群と比較し、顕著な抗腫瘍効果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超音波照射機器GE LOGIQ E9とLBの組み合わせによるナブパクリタキセル(GnP)の腫瘍組織移行量についての検討を完了していない。また、超音波照射機器イトー UST-770 (1または3 MHz)について、様々な超音波照射条件 (照射時間、照射強度、Duty 比など)、 LB の投与のタイミングと投与方法(単回投与、持続投与、投与回数など)を検討する必要が本検討により明らかになってきたため、追加で検討する必要が生じている。このことから、進捗が遅い状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
超音波照射機器GE LOGIQ E9、イトー UST-770を用いた、リピッドバブル(LB)と超音波(US)照射の組み合わせによる様々な照射条件とLBの投与方法が抗腫瘍効果に及ぼす影響を調べ、その結果から、ゲムシタビン(Gem)の腫瘍組織移行を促進する条件と方法を確立し、リピッドバブル(LB)と超音波 (US) 照射の組み合わせによる薬物送達能についての知見を得る。本検討で、LBとUS照射の組み合わせのみの治療により、顕著な抗腫瘍効果が得られたことが新たに明らかとなった。このことから。LBとUS照射の組み合わせによる抗腫瘍効果のメカニズムを解明するため、腫瘍組織内における組織構造、血管構造、免疫等の変化の調査を追加検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
リピッドバブル(LB)と超音波 (US) 照射の組み合わせのみの治療により、顕著な抗腫瘍効果が得られたることが昨年度の実験結果から新たに明らかとなった。LBとUS照射の組み合わせによる抗腫瘍効果のメカニズムを解明するため、腫瘍組織内における組織構造、血管構造、免疫等の変化の調査を今年度で検討するために、昨年度の使用額を抑えた。
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