研究課題/領域番号 |
22K18228
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊介 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90835125)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前頭側頭葉変性症 / 前頭側頭型認知症 / 意味性認知症 / 認知症 |
研究実績の概要 |
研究者が所属する大阪大学精神科ですでに構築済みであった認知症の臨床データベースに、令和4年度に新たに当科を受診した右優位萎縮例の意味性認知症(semantic dementia: SD)の症例を2例登録した。これらの新規登録例と、すでに当科通院中であったフォロー例に対して、認知機能検査であるMini-Mental State Examination(MMSE)やAddenbrooke's Cognitive Examination(ACE-R)、Frontal Assessment Battery(FAB)、認知症者の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia: BPSD)全般を評価するNeuropsychiatric Inventory(NPI)やStereotypy Rating Inventory(SRI)、ケンブリッジ行動質問表、重症度評価尺度であるClinical Dementia Rating(CDR)、神経画像検査の頭部MRIや脳血流SPECTを実施した。また対照群となる左優位萎縮例のSDの症例に対しても、同様に上記の臨床評価項目を実施した。 並行して、登録例に対してPET製剤(MK-6240)を用いたタウPETを実施する研究を行うための倫理申請を行った。大阪大学医学部附属病院と、タウPETを実施する近畿大学にて倫理申請を行い、承認を得た。近畿大学でタウPETを行うための契約を締結し、随時登録例を近畿大学へ紹介して検査を実施する準備が整っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
未承認薬であるPET製剤(MK-6240)を用いた研究であったので、倫理申請に想定していた以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
右優位萎縮例のSDと診断された、今後新規登録する例、およびフォロー例に対して、各種臨床検査を行うとともに、タウPETを近畿大学で実施する。タウPETの結果から、右優位萎縮例のSDにおけるタウ陽性の比率を明らかにする。また右優位萎縮例のSDのタウ陽性群とタウ陰性群、および左優位萎縮例のSD群で、各種評価尺度のスコアや血中NfL・p-tau値を、one-way ANOVAまたはKruskal-Wallisにより3群比較する。また頭部MRIと脳血流SPECTについては、SPMを用いて脳萎縮と局所血流低下の群間比較を行う。これらの解析により、右優位萎縮例のSDの背景病理ごとの臨床症状やバイオマーカーの違いを解明する。 令和4年度内に倫理申請を終え、近畿大学にてタウPETを実施する手順については確立されているため、令和5年度には円滑に研究を推進できると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の予定に変更があったため。
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