研究課題
挑戦的研究(開拓)
無文字社会を形成するカラハリ狩猟採集民のグイ語について,母語話者を中心とする現地関係者たちと協働しつつアルファベット・ベースの正書法を確立し,スマートフォンやSNSの利用も含めた持続可能な識字活動基盤を構築することを目標とする挑戦的な研究である。成功すれば社会的意義は大きく,また非常に複雑な音素体系を持つグイ語に正書法を確立する試みには重要な学術的知見をもたらす潜在性がある。
社会的・文化的特殊性と言語的特異性により確立が阻まれてきたグイ語の正書法を確立するだけでなく,SNSを含めた持続可能な識字活動基盤を構築するという点において,社会性と学術性の両面において挑戦的と考えられる。また,グイ語の正書法確立自体にも学術的意義があるが,それに付随して文字文化の導入による文学の発生の可能性など,「無から有」が生まれる瞬間を観察できる可能性があり,波及的な成果も期待される。