研究課題/領域番号 |
22K18272
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
小林 政弘 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (30399307)
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研究分担者 |
小林 憲正 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 名誉教授 (20183808)
加藤 政博 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 特任教授 (30185871)
中村 浩章 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (30311210)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 宇宙生命起源 / 対称性の破れ / キラリティ / 核融合プラズマ / 星間プラズマ |
研究実績の概要 |
分子科学研究所の極端紫外光研究施設UVSORのビームラインBL7Bにおいて、核融合炉ダイバータ領域、または星間空間などでの光電離過程を再現することを目指して新たなガスセルを設計して実験を実施した。ガスの相互作用を促進させる目的で、前回の実験に比べてガスセルの全長を30cmと約10倍に伸長した。ガスからの発光計測についても、軸外放物ミラーを用いた集光を行った。結果として、光電離によると思われる有意な電子飽和電流を検知することができた。一方、発光スペクトルについては検知できなかった。次年度の実験に向けて更なる装置の改善策を検討し、実験を準備中である。 星間空間における有機分子のホモキラリティ創生シナリオを検証する目的で、昨年度に引き続きUVSOR BL1Uビームラインにおいて実験を実施した。アミノ酸薄膜を蒸着する基板を石英からCaF2に変更して真空紫外域での円二色性スペクトルの改善を試みた。また、各条件(右・左円偏光、磁場印加)照射に対してそれぞれ3試料について実験を行い、結果の再現性を確認すると同時にエラーバーの評価を行った。アミノ酸試料への円偏光照射によって有意な光学活性が発現し、かつそれが右・左円偏光に対して符号が逆転することを確認した。ただし、得られたデータはアミノ酸中に誘起される変化が単純な円偏光二色性にいる片方のキラル分子の分解ではないことを示唆している。また、円偏光と同時に磁場印加を行った場合に、得られる光学活性に有意な変化が現れる兆候えお見出した。この点についても、次年度に引き続き実験を行い、解析を進める。 以上の成果は、星間プラズマと核融合プラズマにおける電磁場環境下での光と物質の相互作用の異分野融合研究の促進として意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで実験系の立ち上げにおける試行錯誤により、実験におけるノウハウの蓄積が行われた。今後の実験装置の改良についてのある程度の方向性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
光電離実験については、ビームラインの変更と作動排気、フォトマルによる計測の導入により電離度と計測データの質の向上を目指す。アミノ酸への円偏光照射実験については薄膜の厚さと光の照射時間を最適化することにより、光学活性データのS/Nの向上を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の光学部品と排気装置について、納期が年度内に間に合わなかったものがあったため。次年度に納品して実験に使用する。
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