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2023 年度 実施状況報告書

超重元素イオンビームで拓く周期表極限化学

研究課題

研究課題/領域番号 22K18276
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

佐藤 哲也  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40370382)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2026-03-31
キーワード超重元素 / イオンビーム化学 / 質量分析
研究実績の概要

周期表第7周期のような重い元素領域では、大きな中心電荷に起因する相対論効果によって、最外殻電子軌道電子までが影響を受けるために、その化学的性質が周期表の予想とは異なる可能性が指摘されてきた。一方、原子番号が100を超える元素はすべて人工核種であり、重イオン核反応により、これらの核種を得ることができるものの、合成された核種の生成量は非常に少ない上、半減期もごく短いために、実験操作に伴う種々の困難によって、その化学的性質は未だ多くが明らかになっていない。最近の理論計算により、アクチノイド系列と超アクチノイド元素の橋架けとなる103番元素ローレンシウム(Lr)および104番元素ラザホージウム(Rf)では、その原子の電子構造が軽い同族元素からの予想と異なることが示された。そこで、超重元素原子・分子イオンビームとイオントラップ内化学を結合させた新手法によって、LrおよびRfの原子および分子の化学的性質を明らかにする。
本研究では、核反応で合成した超重元素をイオンビームとして利用する。目的核種のイオンビーム生成のため、電子衝撃型イオン源の開発を進めるとともに、モデル実験を行うための準備ならびに質量分析装置の動作試験を開始した。その結果、希ガス元素についてイオンビームが利用可能であることを確かめた。また、イオンビーム-分子反応によって生成した分子イオンの同定のために用いる質量分析装置について構築を進め、動作試験を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023(R5)年度は、質量分析装置の開発と並行して、イオン-化学反応のためのイオンビーム生成のための装置開発を進めた。不揮発性元素のイオン源内への吸着が無視できないため、最終目的であるラザホージウムのイオンビーム生成には課題を残すものの、揮発性の高い希ガス元素のイオン化は確認できたため。

今後の研究の推進方策

2024(R6)年度は、質量分析装置の単体稼働試験を先行して行い、アルカリ金属イオンを表面電離法によって発生させて、質量測定用回路および制御系の最適化を進める。これと並行して、イオンビーム発生のためのオンライン同位体分離器用イオン源中での分子イオン生成を利用したイオンビーム生成を確かめる。
2025(R7)年度以降は、カリホルニウム-252自発核分裂線源を用いたオフライン実験の後、原子力機構タンデム加速器を用いて合成した短寿命核種によって、短寿命核種のイオントラップ並びに質量測定を行う。最適化した条件下で、同族元素を用いたモデル実験を行った後、超重元素イオン分子反応実験を実施する。

次年度使用額が生じた理由

本研究の発展として国際共同研究を予定しているドイツ 重イオン研究所およびスイス ポールシェラー研究所を訪問し、実際に使用する加速器を用いた実験に参加を予定していたが、両実験計画が2024年(R6)年度に変更となったため、これら出張に係る費用が次年度使用額として生じることとなった。
次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、2024年5月に予定されている両実験計画への参加に係る費用等として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Paul Scherrer Institut (PSI)(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      Paul Scherrer Institut (PSI)
  • [雑誌論文] Chemical characterization of heavy actinides and light transactinides - Experimental achievements at JAEA2024

    • 著者名/発表者名
      NAGAME Yuichiro、SATO Tetsuya K.
    • 雑誌名

      Proceedings of the Japan Academy, Series B

      巻: 100 ページ: 165~189

    • DOI

      10.2183/pjab.100.011

  • [雑誌論文] 超重元素の化学――シングルアトムにもとづく極限化学への挑戦2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 哲也、永目 諭一郎
    • 雑誌名

      日本物理学会誌

      巻: 78 ページ: 64~72

    • DOI

      10.11316/butsuri.78.2_64

  • [学会発表] Current Status of JAEA-ISOL for the study of atomic, chemical, and nuclear properties of the heaviest elements2023

    • 著者名/発表者名
      T. K. Sato, R. Aoki, Y. Ito, Y. Uchibaba, M. Asai, G. Gyeongmin, H. Natori, Y. Miyachi, K. Tsukada, Y. Nagame
    • 学会等名
      7th International Conference on The Chemistry and Physics of the Transactinide Elements (TAN23)
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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