研究課題/領域番号 |
22K18288
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
太田 裕貴 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30528435)
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研究分担者 |
竹村 泰司 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30251763)
大久保 佑亮 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (80596247)
栃内 亮太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90833997)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 液体金属 / ハイドロゲル / 電子システム |
研究実績の概要 |
まずハイドロゲル上での高精度液体金属配線を行った。研究開始までにハイドロゲル構造上に400um程度の配線を行うことに成功している。本年度にはPVAを用いたリフトオフ法という手法を編み出すことで200umは安定的に液体金属配線を構築することができた。派生技術としてシンタリングフリーの配線も考案した。ただし、どちらにせよ、精度としては200umを下回ることはできていない。ICへの接続や経口投与型デバイス(数mmスケール)を構築するうえでは細線幅を40um程度に下げる必要がある。そこで問題となるのは液体金属の低い表面張力である。それを解消するため液体金属ナノビーズを用いた配線技術を考案した。液体金属ナノ粒子の作製は成功している。しかしながらナノビーズ表面にある酸化膜が液体金属の導電性を阻害してしまっている。そのため何らかの方法で酸化膜の形成を阻害するか、除去する必要があり、そのための検討を行っている。 以上が、液体金属のハイドロゲル上での配線にかかわる進捗である。しかしながら、システム上に回路を作成するためにはIC等実装技術が肝要となる。そこで、まずはマウンター等の複雑な装置を用いることなく現有の技術を用いて作製した。精度として200umが上限となるのでICの端子間等の最適化が必要であった。最終的に温度計測システムをゲル状に実装し、スマートフォン上で温度の表示を確認することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に今年は、装置セットアップ、描写方式の検討、圧力センサの導入、ゲル材料の選定となっている。その一方で、実現したことが装置セットアップ、ハイドロゲル上への描写、素子の実装、温度システムのPoCである。複数の課題は未達である一方でそれ以外の部分では十分な進捗を得ている。以上の理由から選択した。
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今後の研究の推進方策 |
(A) ハイドロゲル上での高精度液体金属配線: ICへの接続や経口投与型デバイス(数mmスケール)を構築するうえでは細線幅を40um程度に下げる必要がある。そこで問題となるのは液体金属の低い表面張力である。それを解消するため酸化膜を取り除いた状態でのナノビーズの作製もしくはナノビーズを作製後に酸化膜を除去することを検討している。 (B) ハイドロゲル上でのデバイス構成プロセスの確立:本研究では数um程度でのIC等実装技術が肝要となる。特にハイドロゲルという超ソフト材料の上への実装と液体金属配線との連結が必要となる。本年度、太田研において太田研独自のカスタムメイドの自動チップマウンタを導入している。しかしながら、基板の上に、ICなどチップを超ソフトなハイドロゲルに正確に実装する際にチップの過度な基板への押し込みを防ぐ必要がある。そのために、重要なマウンタ部の圧力センサがなく、基板とチップの接触が検出できない。そこで、このマウンタのチップ実装部に高精度圧力センサを新たに導入することにより目標を達成する。 (C) 超ソフトウェアラブルデイバスの実現:昨年度までに、それまでに開発した技術を用いて液体金属による温度センサを実装し無線通信できる超ソフト電子機械デバイスを1つ目のPoCとして実現した。本年度で細線を作製することができれば、小型化や集積化が可能であることから、本年度はシステムの小型化及び集積化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
描写装置による描写方法が予定通りにいかず、描写装置の改造費用及び消耗品で使用する金額が減少した。ただ、その分他の課題は大幅に進めることができたため全体計画としては変わりはない。使用計画として、描写装置の設置は終わっており、今後改造及び消耗品、デバイス構築にかかわる電子素子、構築するための装置の改造に使用する予定である。
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