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2023 年度 実施状況報告書

ヒト嗅覚受容体セルアレイセンサーによるヒトにおい認識システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K18343
研究機関大阪大学

研究代表者

黒田 俊一  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60263406)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード嗅覚受容体 / 匂いセンサー
研究実績の概要

昨年度までに、我々はヒト嗅覚受容体セルアレイセンサーで約100種類のにおい分子(単純臭・複合臭)を測定しており、388次元のにおいマトリックスを蓄積した。しかし、以前より先駆的なヒトOR研究を行っている米国Duke大学の松波先生のグループなどでも共通した未解決課題として、ヒトOR発現細胞のにおい分子に対する検出感度不足がある。具体的には、ヒト嗅神経細胞の内在性ORは非極性におい分子に対して最少検出感度が概ねppbレベルであるが、再構成OR発現細胞の最少検出感度は2桁低い。その原因は2点に集約され、(1)7回膜貫通タンパク質であるヒトOR分子がHEK293細胞の小胞体膜に正しく配向しない(松波先生の近著:PNAS 2020 117(6):2957-2967にも同様の指摘有)、(2)細胞内Caイオン濃度変化を確実に捕らえていないである。そこで、本研究では、初年度は、再構成したOR発現細胞の検出感度上昇を図った。具体的には、ヒトOR発現系の改良のために、ORの正しい膜局在を促すN末端シグナルペプチドをLucy、リゾチーム、IL2由来ペプチド等への置換や融合を検討した。また、Caイオン検出系の改良のため、CameleonやYC2.60を検討した。さらに、各種阻害剤の検討のため、GRK3、PDE、CX、PMCA、CALM、CAMKIIの各阻害剤を単独もしくは組み合わせて検討した。
今回、2年度では、ヒト嗅覚で感じるにおい分子数は数十万説から数千万説まであり定説がない。しかし、ヒト官能(香調)データに基づく多変量分析によれば、ヒト嗅覚が感じるにおい分子は10種類のグループに分類でき、各グループに代表的なにおい分子138種類が示されている(Castroら、PlosONE 2013 8(9):e73289)。そこで、2年度では上記分類の検証も含めて、提示されている138種類のにおい分子を全て改良型本センサーで測定し、388次元のにおいマトリックスデータを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特に記載するような障害などはなく、順調である.

今後の研究の推進方策

申請書に従って、遅滞なく進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

少額であるので、翌年度に適切に使用する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] ヒト嗅覚受容体発現セルアレイセンサーによる匂い情報DX の実現2024

    • 著者名/発表者名
      森山さくら、黒田俊一
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Sensory Evaluation

      巻: 28 ページ: 11-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 感覚的消臭の変調作用における嗅覚受容体応答の変化2023

    • 著者名/発表者名
      光田 恵、竹下 剛司、花岡 早苗、近藤 早紀、立松 健司、黒田 俊一
    • 雑誌名

      人間と生活環境

      巻: 30 ページ: 1~8

    • DOI

      10.24538/jhesj.30.1_1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒト嗅覚受容体を用いた香りの相互作用の研究2023

    • 著者名/発表者名
      安永 元樹, 高井 英司, 服部 祥治, 立松 健司, 黒田 俊一
    • 雑誌名

      フレグランスジャーナル

      巻: 51 ページ: 51-57

  • [雑誌論文] ヒト嗅覚受容体セルアレイセンサーによる匂い情報のデジタル化技術2023

    • 著者名/発表者名
      黒田 俊一
    • 雑誌名

      日本毒性学会学術年会

      巻: 50.1 ページ: S35-1~

    • DOI

      10.14869/toxpt.50.1.0_S35-1

  • [雑誌論文] ヒト嗅覚受容体セルアレイセンサーによる匂い情報のデジタル化技術2023

    • 著者名/発表者名
      黒田 俊一
    • 雑誌名

      中毒研究

      巻: 36 ページ: 401-405

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Human Olfactory Receptor Sensor for Odor Reconstitution2023

    • 著者名/発表者名
      Kuroda Shun’ichi、Nakaya-Kishi Yukiko、Tatematsu Kenji、Hinuma Shuji
    • 雑誌名

      Sensors

      巻: 23 ページ: 6164~6164

    • DOI

      10.3390/s23136164

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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