研究課題/領域番号 |
22K18344
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平野 展孝 日本大学, 工学部, 教授 (10409089)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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キーワード | 合成生物学 / 生合成経路 / 有用物質生産 |
研究実績の概要 |
原核細胞の大腸菌は、遺伝子組換えが容易なため、有用物質生産を目的とした合成生物学分野で多用されている。しかし、細胞内に膜で仕切られた細胞小器官がないため、生体分子の区画化が困難であり、内在経路への中間体流出や、外来経路による補酵素の一方的消費、外来経路に係る物質の毒性・不安定性、生合成酵素の失活等により、十分な合成量が得られない場合も多々ある。本研究課題では、蛋白質によって正二十面体の殻構造を形成する細菌微小区画を用いて、大腸菌細胞内において補酵素再生経路を含む代謝経路全体を区画化することで、内在経路への中間体流出を抑制し、微小空間内での生合成反応を持続可能にする人工的な代謝反応区画(メタボロソーム)の創出を目指す。天然の細菌微小区画を基に、より汎用性の高い補酵素再生系を持つ基盤微小区画を構築し、副産物生成や生合成酵素の失活が課題の有用物質生合成経路の区画最適化を行い、人工メタボロソームの分子設計基盤の確立を目指す。令和4年度は、細菌微小区画の殻蛋白質遺伝子をオペロン化した発現プラスミドと、合成生物学分野において汎用性の高い補酵素再生経路遺伝子をオペロン化した発現プラスミドの構築を完了した。また、殻蛋白質と、区画内への内包配列を付加した緑色蛍光蛋白質を共発現させることにより、組換え大腸菌内での蛍光焦点の形成を確認した。今後、組換え大腸菌における微小区画の殻構造の形成を、細胞内、並びに試験管内において確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細菌微小区画の殻蛋白質遺伝子をオペロン化した発現プラスミドと、合成生物学分野において汎用性の高い補酵素再生経路遺伝子をオペロン化した発現プラスミドの構築を完了したが、組換え大腸菌において発現させた微小区画の殻構造の形成を細胞内、並びに試験管内において確認する実験に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
微小区画への区画化を目的として、副産物生成や生合成酵素の失活が課題となっている汎用化成品原料の生合成経路遺伝子をオペロン化した発現プラスミドの構築を行う。また、組換え大腸菌における微小区画の殻構造の形成を細胞内、並びに試験管内において確認する。具体的には、微小区画の殻構造の形成を細胞内で確認するため、中間体に細胞毒性を有する物質を含む補酵素再生経路を微小区画を用いて区画化することにより、細胞内で発現させた際の組換え大腸菌の生育への影響を検討する。また、微小区画の殻構造の形成を試験管内においても確認するため、組換え大腸菌での微小区画の発現条件、並びに微小区画の遠心分画による精製条件の検討を行う。最終的には、副産物生成や生合成酵素の失活が課題となっている汎用化成品原料の生合成経路を、微小区画を用いて区画化した際の、中間体・副産物・目的産物の生合成量を比較することで、代謝酵素の集積・近接・区画化の効果を総合的に検証し、原核細胞内における人工的な代謝反応区画(メタボロソーム)の分子設計基盤の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
組換え大腸菌において発現させた微小区画の殻構造の形成を細胞内、並びに試験管内において確認する実験に遅れが生じている。研究実施の遅れに伴い、研究費執行にも遅れが生じたため、次年度使用が発生した。今後は研究実施の遅れを取り戻すべく、専門性を有した研究員を確保して実験を遂行する予定である。
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