研究課題/領域番号 |
22K18345
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
|
研究分担者 |
木村 公一 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (50596236)
山内 啓太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70272440)
藤倉 祐里 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50849974)
栃内 亮太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90833997)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / モデル動物 / 中鎖トリグリセリド / ケトン食 / 心筋 / 骨格筋 / 心機能 |
研究実績の概要 |
本年度は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)モデルラットにおける心筋線維化の増悪機序、および中鎖トリグリセリドを用いたケトジェニックダイエット(MCT-KD)の摂取による増悪機序とその治療介入について検討を進めた。心電図検査や心臓超音波検査の結果、心機能低下や病理組織学的検査における心筋障害が出現し始める以前の幼若期において、心臓自律神経の機能指標である心拍変動性の異常と頻脈が認められた。これらが治療ターゲットになる可能性について検証するために、洞調律を抑制して心臓のエネルギー代謝を改善させる効果を有するイバブラジン(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性HCNチャネル遮断薬)の投与実験を実施した。DMDモデルラットに対するイバブラジンの短期投与では血圧を低下させることなく用量依存的に心拍数を抑制できることが確認された。さらに、DMDモデルラットに対するイバブラジンの長期投与によって心機能悪化や心筋線維化が抑制されることが示された。このことから、自律神経機能の異常に起因した頻脈が心筋線維化の増悪機序であることが示唆され、MCT-KDは頻脈によるエネルギー代謝の異常を増悪している可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの進捗が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
MCT-KDの摂取による心臓のエネルギー代謝の変化をトランスクリプトーム解析等により評価し、心筋の病態悪化機序とその治療方法について、オメガ3を含めた食餌成分の変更や、糖代謝に影響を与え心不全治療薬としても確立しつつあるSGLT2阻害薬の併用投与といった検討を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響が響いており、動物試験がわずかに遅れている。現在精力的に実験を進めていることから、当初の計画に追い付くものと予想される。
|