研究課題
挑戦的研究(開拓)
近交弱勢は、親縁関係が近い個体同士の交配を繰り返した場合に、個体の繁殖力と生存率が低下する現象である。植物のみならず動物でも知られるが、その仕組みはよくわかっていない。本研究では他殖性植物のハクサイを用い、これまでに整備した自殖F4世代以降の後代を6年間に渡って作出し、収量や生殖の表現型の調査を通じて、近交弱勢の遺伝様式を明らかにする。
近交弱勢は、研究材料が得にくく長期の交配実験を要するために未開拓である。自殖が可能で世代時間が短い植物を用いた本長期計画から、近交弱勢の背景にある遺伝因子やエピジェネティクス制御の解明が期待される。その成果は、栽培品種の開発に用いられる近交系に付随する近交弱勢のリスクを回避する技術基盤となる。また、自殖性植物が誕生した経緯や自然淘汰に関する新知見にも繋がりうる。