研究課題/領域番号 |
22K18373
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲垣 成矩 九州大学, 医学研究院, 助教 (30827952)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 組織透明化法 / 蛍光イメージング / 大規模計測 |
研究実績の概要 |
我々の体は、細胞、組織、器官、個体という異なる階層によって構成されている。微視的には、様々な種類の細胞が協調して働くことで、形態的・機能的に特有な組織、さらには器官を形成している。そして巨視的には、器官系が連動することで、個体レベルの生命現象が生じる。従って、動物個体レベルの生命現象を理解するためには、まず組織・器官全体の機能を、そしてゆくゆくは複数器官のネットワークを、単一細胞レベルの分解能で記述する必要がある。近年、固定標本においては、蛍光イメージングに適した組織透明化法が多数開発され、組織・器官全体の大規模な観察が可能になっている。組織透明化法では、高屈折率溶液(屈折率調整剤)を用いて、標本中の屈折率を均一化することで光散乱を抑制する。しかし、屈折率調整や脱脂処理等が極めて高い細胞毒性を生じることから、生きた組織を透明化すること(ライブ透明化)は困難であった。そのため、従来の手法は固定組織の解析に限定されており、動的な生命現象のスナップショットしか捉えることができなかった。 そこで本研究では、組織・器官規模の生命現象をex vivoで解析可能なライブ透明化法の開発を行った。まず生体機能に干渉しない屈折率調整剤を開発するため、培養細胞の増殖速度を指標に、試薬のスクリーニングを行った。ほとんどの試薬が培養細胞の増殖を阻害したのに対し、唯一、試薬Xは、細胞の増殖を阻害することがなかった。また試薬Xを用いて屈折率を調製することで、培養細胞や急性脳スライスを透明化できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、生体機能に干渉しない屈折率調整剤の開発に成功し、ex vivoサンプルのライブ透明化が可能であることを示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、培養細胞や急性脳スライス以外のex vivo組織に、ライブ透明化法を適用できるか検証する。また透明化した組織において、カルシウムイメージング等の計測が問題なく行えることを示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費削減に努めたため。次年度は、主に実証実験に必要な大規模計測機器のセットアップに使用する。
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