研究課題/領域番号 |
22K18377
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
桃沢 幸秀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (40708583)
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研究分担者 |
西村 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80172708)
山田 良子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (50909421)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ゲノム医科学 / 獣医学 / 未診断疾患 / 希少遺伝性疾患 / イヌ |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒトで稀な遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異を有するイヌという動物種を活用して、ヒトの遺伝性疾患の原因を明らかにすることを目的としている。そのため、2022年度は東京大学附属動物医療センターにて収集されたイヌの血液検体から抽出されたDNAの全ゲノムシークエンスを実施し、遺伝子の機能欠失を引き起こす生殖細胞系列のバリアントの網羅的な検出を実施した。 まず、サンプル調製として、収集されたDNAの濃度及びクオリティの確認を行った後、全ゲノムシークエンス用のライブラリ作製を実施した。その後、作成したライブラリを用いて次世代シークエンサーによる全ゲノムシークエンスを行い、bclファイルを出力した。 次に、出力されたbclファイルからvcfファイルを作成するためのイヌ全ゲノム解析用パイプラインを構築し、vcfファイルの作成に進んだ。次世代シークエンサーから出力されたbclファイルからfastqファイルを作成し、CanFam4(UU_Cfam_GSD_1.0)をリファレンスゲノムとしてリードのマッピングを行った。その後、Broad Instituteより提供されているGenome Analysis Toolkit(GATK)で解析してバリアントコールを行い、SnpEffを用いて各バリアントに対してアノテーションを付与したvcfファイルを作成した。上記の一連の流れによりイヌDNAの全ゲノムシークエンスを実施し、遺伝子の機能欠失を引き起こしている可能性が高い生殖細胞系列のバリアントを選別している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノムシークエンスからの機能欠失バリアントの検出が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノムシークエンスからの機能欠失バリアントの同定を引き続き実施する。同定したバリアントのうち、ヒトで既知の疾患との関連が明らかでなく複数頭のイヌが有するバリアントを複数箇所選抜する。選抜したバリアントについて、解析対象個体を増やして遺伝子型の判別を行い、疾患及び犬種集積性との関連解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により次世代シークエンス用試薬やプラスチック類の納品に想定よりも時間を要し、次年度使用額が生じた。また、分子細胞生物学的解析を2023年度以降に本格化することとなり、これらに使用する費用は次年度使用を予定している。2023年度は検出した機能欠失バリアントとphenotypeの関連解析及び分子細胞生物学的解析を進める上、学会発表や結果の論文化を予定しており、これらに予算を使用する。
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