研究実績の概要 |
本研究は、エクソソームを始めとした細胞外小胞(Extracellular Vesicle: EV)を対象とし、従来の技術ではEVの回収が困難であった極めて微量な体液から、特殊なセルロースナノファイバー紙(CNF紙:図1)を用いて回収・解析する新たな手法を開発することを目的とする。また、CNF紙による微量体液回収手法を用いることで、これまでEVの由来体液として血液や腹水といった単一の体液とされてきた概念から、腫瘍表面や臓側腹膜、壁側腹膜や横隔膜などといった、採取部位によるEVのもつ分子プロファイルの違いを明らかにすることが可能となる。本研究では、生体内の位置情報という新しい観点からのEV不均一性解析を行うことにより、卵巣がんにおける新たな進展メカニズムを明らかにし、臨床応用を想定した新しい知見を明らかにする。2023年度は解析のコンセプトについて、論文報告を行った(Yokoi A, Yoshida K, Koga H, Kitagawa M, Nagao Y, Iida M, Kawaguchi S, Zhang M, Nakayama J, Yamamoto Y, Baba Y, Kajiyama H, Yasui T. Spatial exosome analysis using cellulose nanofiber sheets reveals the location heterogeneity of extracellular vesiclesNat Commun. 2023 Nov 8;14(1):6915. doi: 10.1038/s41467-023-42593-9.)。EVシートの特性である、①微量で解析できること ②高い保存性 ③EVアタッチという解析手法の確立について報告を行うことができた。現在、本解析による新しい病態解明を目指し検討をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は解析のコンセプトについて、論文報告を行うことができたため(Yokoi A, Yoshida K, Koga H, Kitagawa M, Nagao Y, Iida M, Kawaguchi S, Zhang M, Nakayama J, Yamamoto Y, Baba Y, Kajiyama H, Yasui T. Spatial exosome analysis using cellulose nanofiber sheets reveals the location heterogeneity of extracellular vesiclesNat Commun. 2023 Nov 8;14(1):6915. doi: 10.1038/s41467-023-42593-9.)。また、本手法を用いた様々な研究が展開されているため。
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