研究課題/領域番号 |
22K18433
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 主幹研究員 (90400457)
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研究分担者 |
村上 進亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40414388)
山野 博哉 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 領域長 (60332243)
山末 英嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (90324673)
佐久間 東陽 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (10909451)
渡 卓磨 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 研究員 (10845811)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 資源 / 鉱山 / リモートセンシング / マテリアルフロー / 土地改変 / 生物多様性 |
研究実績の概要 |
2022年度は、[課題1]資源利用の持続可能性の検証として、主に指標の探索と設計を進めた。また、[課題2]モデル開発とデータ整備として、解析モデルの開発と共に、解析用に各種の活動量・影響量に関するデータ整備に取り組んだ。また、国際的な資源利用に伴う不平等・格差の計測指標として、開発経済分野などで所得分配の不平等指標として活用されているジニ係数やタイル尺度の適用を検討した。 具体的には、本年度は、炭素・資源制約下における鉄鋼・セメント供給可能量を推計する数量モデル開発に着手すると共に、世界約200か国・地域における鉄鋼・セメント利用の不平等・格差に関するデータの整備を実施した。その結果、世界的な鉄鋼・セメント供給可能量は総量の観点では全世界人口の基本的ニーズの充足に十分であるものの、国際的不平等・格差の是正がその鍵となることが明らかとなった。また、種々のプラスチック樹脂について資源強度を算定した。その結果、これらの材料においてはGWPだけでなく資源という視点からの評価も必要なことが明らかになった。 加えて、資源利用に伴う影響の把握のために、土地改変・生物多様性損失の評価に向けて、鉱山ポリゴンを入手し、その領域におけるLandsat画像の入手および解析環境の整備を実施した。その結果、鉱山域におけるLandsat画像雲マスクの精度は粗悪であることが明らかとなったため、先ずはそのアルゴリズムの修正を検討する事とした。また、鉄鋼材料等を対象として素材生産に伴うTMR係数の推定・整備、更には、資源産出国における経済状況に関して情報源情報の収集に努めた。具体的には鉱山関係の商用データベースを中心に、資源採掘による直接的な便益情報を収集すると共に、間接的な効果についてどのような項目を検討すべきかを整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事例研究を進める上で、人的資源の確保として、特別研究員の雇用を予定していたが不調和となった。その後、公募を経て、新たな人材の採用に向けて手続きを開始したものの、在留資格証明書の発行などに多くの時間を要することとなり、未だ雇用できていない。
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今後の研究の推進方策 |
炭素・資源制約下における素材の供給可能量を推計する数量モデル(物質フローネクサスモデル)の設計・開発については、鉄鋼利用の国際的不均衡性に関するデータを、最新の統計データが入手可能な2019年まで更新するとともに、先進国と途上国間におけるスクラップ利用可能量の将来的な不均衡性を定量化する。加えて、既存の資源ガバナンスに関するイニシアチブを包括的に調査し、不均衡性の是正に資する制度改正の可能性を検討する。また、鉄鋼、銅、アルミニウムに関して、それらの背後にある資源採掘活動の地域依存性(国、鉱山等)を評価する。特に鋼材、アルミニウムについては種々の合金についても考慮し、その影響を定量的に可視化する。これらの成果を基に、資源産出国と利用国における不平等について指標を提案する。 加えて、資源利用に伴う影響量の把握については、衛星画像を用いた全球に分布する各鉱山の採掘領域面積の時系列変化を推定するために、以下の2つの検討を行う。① 全てのLandsat衛星搭載のセンサに適用可能な鉱山域における雲検出アルゴリズムを開発する。② 深層学習におけるセマンティックセグメンテーションアルゴリズムの一種であるYOLO8を用いて、鉱山域における採掘領域を推定する。その際、教師データの与え方に起因するモデルの頑健性に着目した精度検証を実施する。また、資源開発国における資源産業由来の利益などのデータについて、実際の資源の所在地、保有企業の国籍などから分析を実施し、バリューチェーンを通した富の配分の不均衡についての検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた特別研究員の採用が不調和となったため。現在、公募を経て、外国籍の別の人物を採用予定であるが、在留資格認定証明書の取得に時間を要している。
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