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2022 年度 実施状況報告書

芸術活動をめぐる文化と福祉の間の障壁

研究課題

研究課題/領域番号 22K18456
研究機関九州大学

研究代表者

中村 美亜  九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード認知症 / 芸術活動 / 文化セクター / 福祉セクター / ケア観
研究実績の概要

2022年度は文化セクターと福祉セクターの間にある障壁を解明すべく、各セクターから立場の異なる4人(計8人)を選定し、1時間半から2時間のオンライン・インタビューを実施した。もともと想定していた「知識・理解、コミュニケーション、制度」という3つの観点以外にも、それぞれの立場・経験に合わせ、関連する事項を適宜質問した。インタビュー後は文字起こしをし、分析を行なった(継続中)。
分析の途中ではあるが、すでに当初予想したのとは異なる結果が示されている。研究を計画する時点では、文化セクターと福祉セクターの間に障壁があるため、両セクターの協働が難しくなると考えていたが、インタビューを進めるに従い、両セクターにはさまざまな違いがあるものの、それらは障壁を生み出す本質的な要因ではないことがわかってきた。
むしろ重要なのは、「ケア観」(ケアをどう捉えるかという考え方や価値観)が共通しているかどうかということのようだ。福祉セクターの中にも、人間どうしのふれ合いを大切にするところもあれば、そうでないところもある(例えば、作業効率を優先するなど)。文化セクターの中にも同様に、人間どうしのふれ合いを大切にする人もいれば、そうでない人もいる(例えば、芸術ジャンル内の表現のスキルを優先するなど)。ケア観が共通している場合は、セクターが異なっても協働は難しくない。ところが、ケア観が一致していない場合は、協働が困難になる。もちろん、予算や勤務時間など現実的な障壁もあるが、ケア観の違いが何よりも重要であるということが見えてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

科研費基盤(B)の関連した研究プロジェクトも採択されたことにより、国内外の情報収集や概念の整理など、相互に連携して研究を進められるようになった。

今後の研究の推進方策

これまでのインタビューで当初の予想と異なる結果が示されたため、アンケート調査の項目や実施方法など研究計画の軌道修正が必要である。インタビューの結果分析を急いでまとめ、専門家を招いて研究会を実施し、今後の方向性を見定めることが重要と考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため、海外での学会参加がオンラインになるなど、計画通りに執行できないものがあった。次年度(2023年度)、海外調査を実施する際に活用する計画である。

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公開日: 2023-12-25  

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