• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

新潟県における角筆文献言語データ・アーカイブの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K18466
研究機関新潟大学

研究代表者

鈴木 恵  新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (60163010)

研究分担者 磯貝 淳一  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40390257)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード角筆文献 / 電子調書 / 言語データ / 画像データ / 言語データ・アーカイブ
研究実績の概要

近年、諸方面で古文献の活用を目的としたデジタルデータ化、アーカイブ化が進められている。ところが、古文献にはビジュアルな墨筆・朱筆などによるものの他に、角筆による文字や記号・図絵の書き入れが存することが少なくない。それにもかかわらず、従来公開されている画像データにはそれが全く反映されていないのが現状である。すなわち、角筆にまで対応する言語情報を備えたものは見当たらないのである。通常、写真は被写体の真上から大光量を放って撮影するため、そもそも角筆による凹みの影は写らないからである。
本研究では、このような課題に一つの道筋をつけるべく、これまで新潟県内の角筆文献調査で作成してきた調書(紙媒体)をもととし、これを詳しく再調査した上でデジタルデータ化し、あわせて角筆による書き入れに十分配慮しつつ、デジタル写真撮影による画像データを作成して、言語データと画像データが補完し合う「言語データ・アーカイブ」を構築する。
本研究で提案する「言語データ・アーカイブ」は、資料に対して言語データ・画像データ双方からアクセスする可能性を拓き、古文献の言語研究への活用促進につながるはずである。これを、既存のデジタル画像アーカイブや各地のコレクションに適用、拡大すれば、横断的かつ包括的な利用が可能となる。
研究初年度の令和4年度は、新潟大学附属図書館所蔵の佐野文庫資料の漢籍之部(66資料)について詳細に再調査を行い、角筆の文字や記号・図絵の書き入れについてデジタル写真撮影を実施した。総計45日間の終日調査を実施した結果、漢籍之部の再調査を終了することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度の令和4年度は、実質的には7月からのスタートとなった。まずは調査資料の所蔵者である新潟大学附属図書館及び新潟県立佐渡高等高校に対して調査申請を行い、文献調査及びデジタル写真撮影の許可を得ることができた。
その後、主たる調査対象である新潟大学附属図書館所蔵の佐野文庫資料に焦点化することとし、令和4年10月31日から翌令和5年3月22日までの間、45日間に及ぶ資料の再調査とデジタル写真撮影を行った。何れも朝9時から夕刻5時までの終日調査を実施した。
この再調査は、当初は以前調査・作成した調書を再確認した上で、順次デジタル写真撮影を実施するという、比較的容易な作業を想定していた。ところが、以前の調書は、文献調査(特に角筆調査)の習熟度や学年が異なる多人数の学生が参加し、長期間にわたって調査者が入れ替わりつつ調査・作成したものであったために、用例の採取漏れや誤読・誤認が想定以上に多く、再調査自体に膨大な時間を要することがわかった。正確を期し、慎重に作業を進めることに徹したため、前回調査よりも時間を費やした資料もあった。
今回の調査は、文献調査の経験が豊富な大学教員2名によるものである。調査者の質としては全く問題ないのであるが、正確に調査を行い、精細なデジタル写真撮影を実施するには、絶対的に相当量の時間が必要である。ただ、新潟大学附属図書館の職員の方々のご理解とご協力もあるので、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、今年度に引き続き新潟大学附属図書館所蔵の佐野文庫資料の再調査を実施する。特に、国書之部の資料についての再調査とデジタル写真撮影を行う。ただ、漢籍之部が66資料であったのに対して国書之部は全部で151資料であるため、当然のことながら2倍以上の時間を要することが予想される。日常業務の中から極力時間を捻出しつつ、鋭意調査に当たる所存である。
また、今年の9月には新潟県立佐渡高等学校に赴き、同校所蔵の八田文庫文献について再調査を実施する予定である。特に、前回までの調査で膨大な角筆文字が発見されている『近思録』については、詳細に再調査を行い、精細なデジタル写真撮影を実施することとしている。
実は、当該資料については1997年から1999年の3ヶ年、学生帯同で調査を実施し、次いで2005年には教員1名にて合計3回、11日間を要して確認調査を行ったことがある。その際、あわせてデジタル写真撮影を実施したのであるが、当時はデジタルカメラの性能(撮影素子の画素数等)が高くなく、SDカード等の保存メディアの容量も極めて小さいものであったため、結果的にサムネイル版程度のデジタル写真しか撮影できなかったのである。当然、今日の言語研究に資するレベルの写真ではなかった。今回の再調査では、同資料の角筆による文字や記号・図絵の書き入れについて、精細なデジタル写真としてすべて再撮影を実施することにした。必然的に、本調査もまた複数回に及ぶ、10日以上の現地調査となることを想定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 和化漢文と日本語書記―『探要法花験記』における文末助字「也」のテクスト機能に着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      磯貝淳一
    • 雑誌名

      日本語・日本文化研究

      巻: 3号 ページ: 63-72

  • [学会発表] 「モラトリアム」から 「古典教材の新たな授業づくり」 に及ぶ2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木恵
    • 学会等名
      新潟大学教育学部国語国文学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 『 枕草子 』 の新たな授業づくりの 方法 ―第一段「春はあけぼの」冒頭 文の 解釈を めぐって―2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木恵
    • 学会等名
      新潟県ことばの会
    • 招待講演
  • [学会発表] 『注好選』孝子説話に見る漢文和化の方向性2022

    • 著者名/発表者名
      磯貝淳一
    • 学会等名
      訓点語学会
  • [図書] 『怪談牡丹燈籠』語彙総索引2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木恵
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      オリンピア印刷

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi