研究実績の概要 |
研究代表者はこれまで石牟礼道子の作品分析の成果として、「ことばの近代―石牟礼道子における風土と文学」『文学と環境』6 (文学・環境学会、2003年)、 “Minamata and the Symbolic Discourse of the South” Ecoambiguity, Community, and Development (Lexington Books, 2014)を刊行しており、足尾鉱毒問題に関しても“Ethics of Natural Disaster: Shozo Tanaka and Ashio Mine Poisoning.” Tamkang Review, no. 37 (Autumn 2006)を刊行してきた。 今回のプロジェクトではさらに考察を進め石牟礼文学の思想性と、その環境人文学的な意義について包括的な考察を行うものである。令和4年度については『苦海浄土』三部作を中心として環境破壊をめぐる近代的構図について考察することが主な目的であった。石牟礼道子関係資料、および東アジアの環境人文学関係資料を集中的に購入したほか、『苦海浄土』三部作を精読し、「ノロの語り:石牟礼道子における近代の構図」という講演を最終講義(九州大学言語文化研究院、令和5年3月23日)として行った。 また環境人文学関連の研究実績としては、研究論文「自然保護という思想―ソローからミューアへ」『エコクリティシズム・レヴュー』第15号(2022年、1-9頁)のほか、図書『19世紀アメリカ作家たちとエコノミー』(彩流社、2023年)を共著として刊行した。さらに研究発表「ホーソーンとその岩」日本アメリカ文学会全国大会(専修大学、2022年10月8日)および招待講演「難破船の詩学―マサチューセッツのメルヴィル」(九州大学文学部、2023年2月18日)を行った。
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