研究課題/領域番号 |
22K18476
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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研究分担者 |
金 情浩 京都女子大学, 文学部, 准教授 (70513852)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 遠隔授業 / 英文法 / 社会的相互作用 / 第二言語獲得研究 / 言語理論 / 言語知識 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の最中、Zoomなどを用いたリアルタイムの同期型遠隔授業やオンディマンドを用いた非同期型遠隔授業が、対面授業の代替として利用されている。同期型遠隔授業は出席率の向上や個々の学生と密接に繋がることができるという利点を指摘する声がある一方で、対面授業と同じ「社会的相互作用」は作れないという欠点も同時に指摘されている。本研究は、教師と生徒間の「社会的相互作用」の観点から、同期型遠隔授業に加えて非同期型遠隔授業がどこまで英文法知識の発達と定着を促せるのかどうかを言語理論、第二言語獲得研究、脳科学の観点から検証する。また、ポストコロナにおける英語教育に対して、(i) エビデンスベースから遠隔教育の可能性と限界を探り、(ii) 多様な授業形態における効果的な指導法に寄与する、ことを目的とする。 本研究は、言語とは、母語であろうと外国語であろうと脳に実在する言語知識であることを前提とし、学習を「環境からの刺激により神経回路網が構築される過程」(小泉 2012)ととらえる。この前提のもとでは、遠隔授業の学習効果は、脳科学から検証されなければならないが、言語(文法)知識に関してこの種の実証研究は行われていない。本研究目的を達成するために、日本人英語学習者が不得手な英語の文法項目に関して、教師が学習者と対面で指導する場合と、同期型遠隔授業や非同期型遠隔授業の場合の指導・学習効果の差を、授業前と授業後の言語知識調査を行うことで検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度のR4年度は、対面による実験を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、対人研究の制限のために研究が思うように進められなかった。本研究課題は、対面授業と遠隔授業の比較が必須となるが、コントロールとなる対面授業の実験が諸制限のために実行できなかった点から判断すると、進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。 一方で、対人研究の制限がなくなった場合に備えて、本研究課題の研究動向と関連領域の調査を行うと同時に、研究課題に関連する文献を購入した。この調査の中で、申請時点では想定してなかった異分野からの情報を得ることができたことは、評価できる点であり二年目以降の研究推進に役立つと思われる。また、次年度以降に備えて、実験項目の選定や刺激の検討をすることができた。これらの観点から、ある程度の研究進捗は認められたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が落ち着き次第、実験を安全に実施できる方策を練った上で実験文を確定し、予備実験で問題がなければ実施計画を遂行する。二年度目は初年度に行えなかったに実験を実施し、その結果を分析する予定である。また、実験結果を英語教育研究者を含め関連領域の専門家と意見の交換を行う。三年度目は、二年度目の研究成果をもとに、実験を実施し、その研究成果を論文で発表すると同時に、一般向けにも情報を発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面の実験が行えなかったことにより、機能的MRI使用料、実験参加者への謝金、支出を予定していた国際学会への参加に伴う旅費を使用しなかったために、次年度使用額が生じた。次年度は、対面での実験を予定しているので、機能的MRI使用料、実験参加者への謝金や成果発表のための旅費等として使用する予定である。
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