研究課題/領域番号 |
22K18512
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00233510)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 法言語 / 美的洗練 / ミスコミュニケーション |
研究実績の概要 |
法言語の美的洗練を図るための準備作業として、法の言語学的特徴を、宗教、科学、芸術、政治といった他の機能システムにおける言語コミュニケーションとの比較を通して明らかにする分析を行った。これは、それぞれに独自の言語体系を構築しかつ複雑化しているシステム同士の「対話」がミスコミュニケーションに終わることを防ぐために、一定の平易化がクレオール言語的な形で創発することがあるのではないかという理論的予測に基づく。 すなわち、「法をめぐるミスコミュニケーション」を共通テーマとする雑誌連載企画を用意し、弁護士、法情報学者、社会学者、憲法学者らの自由な知見を披瀝してもらい、法的言語がなぜどのように他システムによって誤読されるのか、その克服のために法言語の美的洗練はどのように寄与し得るかを探索することにした。 その結果、単なる法言語の平易化では乗り越えられないような根源的なミスコミュニケーションが、法と宗教、法と科学技術、法と芸術、法と政治の間にあることを再認識せざるを得なかった。法的推論のAI化や、法情報の電子化・ビッグデータ化など、法言語のありようを根源から変えるかもしれない技術革新が進行しているが、それらもまた、如上のミスコミュニケーションをむしろ加速する恐れがある。法言語を美的に洗練させることは、これらの難題と無関係ではありえず、改めて課題の難しさを認識するに到った。要するに、素人、一般市民が日常言語的に意味を理解できるという意味での単純化としてではなく、交錯する多様なコミュニケーションを論理的かつ一意的に整序できる体系的洗練言語として法が生まれ変わるにはどうすればよいかという課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
依然脆弱なままの理論的基盤を強化せずに闇雲に調査と心理実験を行っても表面的な知見しか得られないことが確実に予想されたため、あえて遠回りして「研究実績の概要」欄で述べた作業を行った。その結果、予定していた調査・実験は次年度以降に回さざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
理論的考察については一定の見通しを得たので、なるべく早い時期に調査票による調査と心理実験を研究協力者の助力を得て実現することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票の設計や心理実験に必要な経費はまだ用いていないため次年度使用額が発生した。これらは次年度前期までに調査と実験を実施することで使用することが予定されている。
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