研究課題/領域番号 |
22K18529
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岩壷 健太郎 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90372466)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | FX証拠金取引 / 行動バイアス / 取引データ / 自信過剰 / アンケート調査 / 非認知スキル / 自信過剰 |
研究実績の概要 |
本年度、『証券アナリストジャーナル』に掲載された「FX投資家の個人特性と投資パフォーマンス―アンケート調査と取引データによる分析―」は、FX証拠金取引における個人投資家の認知能力、非認知能力、行動バイアスといった特性と投資パフォーマンスの関係について、アンケート調査と売買履歴を記録した取引データを投資家ごとに紐づけて分析した研究である。個人投資家の特性は取引データからは観察されないので、アンケート調査が有効である。しかし、過去の投資パフォーマンスなど客観的な項目を問う質問では、事実と異なる回答が含まれている可能性が高い。そこで、客観的な項目については投資家の売買履歴を記録している取引データから取得することが望ましい。そこで、アンケート調査の回答者の取引データ使用の許諾を得た上で、両データを投資家ごとに紐づけながら、投資家の個人特性と投資パフォーマンスの関係を分析した。 本稿では、①認知能力(金融リテラシー,FX専門知識,認知反射テスト)、②非認知能力(ビッグファイブ性格診断)、③行動バイアス(他人に対する自信過剰と将来パフォーマンスに対する自信過剰)をアンケート調査から把握し、取引回数、レバレッジ、取引通貨数と投資収益率を取引データから計測した。投資パフォーマンスに対して最も影響している個人特性は、他人に対する自信過剰であり、投資パフォーマンスの低下効果が大きいことを発見した。自信過剰な投資家は取引回数が多く、レバレッジが高く、取引通貨数も多い。ただし、投資パフォーマンスの悪化を招いているのは既存研究が指摘するような取引回数の多さではなく、レバレッジが高いことと取引通貨数が多いことである。また、金融リテラシーやFX専門知識といった認知能力が高い投資は相対的にレバレッジが低く、投資パフォーマンスが良いことも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度に実施し、査読中であった研究を含め、計4つの研究を査読付きの研究誌に掲載することができて、満足する結果となった。 研究協力体制をとっているSBI FXトレード社の顧客を対象にオンラインでのアンケート調査を実施し、過去3年にわたる取引データを入手することも完了した(対象者は約1,300人)。 アンケート調査で得られたデータをもとに、個人投資家の認知能力(金融リテラシー、FX取引の専門知識など)、非認知能力(性格診断)、行動バイアス(自信過剰やギャンブル選好など)など個人のデータを数値化することもできた。取引データからは取引手法(取引回数、レバレッジ、保有期間など)と期間別投資収益率を計測できる体制が整った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、気質効果(disposition effect)や外挿効果(extrapolation)など、これまで取引データから観測され行動バイアスがどのような個人特性のもとで生じているかを分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、PCの購入を翌年度に延期したこと、および海外での研究発表が出来なかったことが原因で100万円ほど来年度使用額が生じた。
来年度はPCの購入と海外での発表を予定している。
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