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2022 年度 実施状況報告書

協同労働を基盤とした持続可能な地域づくりに関する理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K18562
研究機関明治大学

研究代表者

大高 研道  明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00364323)

研究分担者 田中 夏子  都留文科大学, 教養学部, 非常勤講師 (30257505)
藤本 穣彦  明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (90555575)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード協同労働 / 労働者協同組合(ワーカーズコープ) / 持続可能性 / 地域づくり / 社会的連帯経済 / サブシステンス労働 / 意見反映 / 集団的自己決定
研究実績の概要

2022年度の主たる研究活動は、2022年10月1日に施行された労働者協同組合法の特徴・現代的意義・課題等の検討と併せて、施行にむけた関連省庁や自治体等の対応について、その動向を把握することであった。これらについては、基調講演(厚生労働省:2022年9月17日/埼玉県産業労働部:2022年9月3日)等を通して、法施行に関わる諸課題を制度と実践の両面において把握することが出来た。また、アップデートのデータや制度・実践面の現状については、『日本労働年鑑』第92集(2022年6月)および93集(近刊)にて整理した。
他方で、労協法の最大の特徴は、働く者が自分たちで出資して事業運営に決定権を持つことを基本原理としていることにある。しかし、その中心概念である協同労働に関しては十分に理解され、共有されているわけではない。そこで、法律が前提とする「労働者どうしの協同労働」と、市民が実践の中から構築してきた「利用者や地域との協同を含めた協同労働」を統一的なもの、連続的なものと捉え、両者がどのような相互作用を生み出すのかという側面に着目した研究成果が、日本協同組合学会シンポジウム報告(2022年9月10日)である。
実証研究では、若者支援事業をきっかけに多様な仕事づくりを地域に展開してきた実践(兵庫県豊岡市)、過疎が進行する地域の住民たちとともに仕事おこしに取り組む中で失いつつあった地域のほこりを取り戻し、「あきらめ」や「おまかせ」志向を主体的な意識に転換している実践(宮城県登米市)、ふるさと再生雇用事業を活用した無認可保育所・学童保育・生活総合支援などの複合的事業の蓄積をベースに第三の居場所事業に取り組んでいる実践(鹿児島県奄美大島)、および比較的歴史の長いワーカーズコープ(東京都町田市、埼玉県深谷市など)のフィールド調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年10月1日に施行された労働者協同組合法は、44年ぶりの協同組合関連法の施行であるだけでなく、閉塞する社会へのひとつの対応策という観点からも大きな意味を持つものであったため、理論・制度・実践において多面的な議論が展開し、それらへのフォローアップに多くの時間とエネルギーを割くことになった。そのため、共同研究活動は定期的に実施した理論研究会が中心となり、同じ現場を研究メンバーが見て、多面的な角度からの実践検討を目的とする共同調査活動を十分に行えなかった。

今後の研究の推進方策

引き続き本研究課題の関連概念(ケア、利他、中動態、当事者研究、社会的自由等)の検討会を定期的に実施し、協同労働を基盤とした持続可能な地域づくりに関する基盤理論の構築に努める。
実証研究に関しては、研究代表者・分担者間の研究会議は定期的に実施しており、調査課題や分析方法については共有しているが、具体的な事例に即した調査分析枠組みの再構築は課題である。よって、情報収集のみならず調査内容・方法の検討および集約的現地調査も共同研究機関である日本労働者協同組合連合会と協同総合研究所と連携して実施する体制を整える。

次年度使用額が生じた理由

前述した労協法施行にかかわる検討に多くのエネルギーを費やしたため、制度研究が先行し、共同調査活動を十分に行えなかった。繰越金は、最終年度(2024年度)の海外調査旅費および研究成果発表・報告書作成費用にあてたい。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 働く意味を問い直す、協同の価値を取り戻す2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 355 ページ: 61-68

  • [雑誌論文] 対談:「協同労働」の多元的な価値と可能性を考える2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道、向谷地生良、田中夏子
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 355 ページ: 74-82

  • [雑誌論文] 「協同労働」の今日的意味と可能性-地域づくりの深化に向けて-2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 雑誌名

      くらしと協同

      巻: 41 ページ: 4-14

  • [雑誌論文] 研究する協同労働2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 357 ページ: 2-6

  • [雑誌論文] 労働者協同組合法施行-歓喜の2020年、決意の2022年2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 雑誌名

      協同の発見

      巻: 359 ページ: 2-3

  • [学会発表] 労働者協同組合法と協同労働2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 学会等名
      日本協同組合学会第42回大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 協同労働という働き方と労働者協同組合法の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 学会等名
      埼玉県産業労働部「労働者協同組合法に関する県民説明会」
    • 招待講演
  • [学会発表] 労働者協同組合法制定の現代的意義2022

    • 著者名/発表者名
      大高研道
    • 学会等名
      厚生労働省「労働者協同組合法周知フォーラム」
    • 招待講演
  • [図書] 社会教育・生涯学習論-自分と世界を変える学び2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 敏正、朝岡 幸彦(大高研道)
    • 総ページ数
      155
    • 出版者
      学文社 (GAKUBUNSHA)
    • ISBN
      9784762032202
  • [図書] 日本労働年鑑 第92集(2022年版)2022

    • 著者名/発表者名
      法政大学大原社会問題研究所(大高研道)
    • 総ページ数
      531
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      9784845117628
  • [図書] 交流まちづくり2022

    • 著者名/発表者名
      国土総合研究機構観光まちづくり研究会、上田 裕之、小野崎 研郎、猪股 亮平、谷 彩音、三上 恒生、今場 雅規、林 明希人、今泉 ひかり、江花 典彦、奥川 良介、岡村 幸二、副田 俊吾、山田 泰司、植村 真雄、中嶋 紀世生、藤本 穣彦、荒 ひかり
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      学芸出版社
    • ISBN
      978-4-7615-2818-8

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公開日: 2023-12-25  

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