研究課題/領域番号 |
22K18584
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
大谷 忠 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (80314615)
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研究分担者 |
東原 貴志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10370850)
田口 浩継 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50274676)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 木育 / SDGs / STEAM教育 / 脱炭素社会 |
研究実績の概要 |
本研究では従来の木育の考え方を大きく変革させ,新たな価値を創造する問題解決的な「学び」として,近年注目されているSTEAMの視点を取り入れ,SDGsに基づいた新たな木育の再構築が可能か,またどのような木育プログラムの提案ができるか,その試行と理論的探索を行うことを目的としている。1年目は,既存の木育プログラムの調査・収集を行い,STEAMの視点からのプログラムを分析した。 分析には林野庁のホームページに記載されている「木育をはじめとする木材利用の普及啓発に関する事例集」の86事例を対象とした。86例を用いて,木育を進める段階的な取組として示される木育フラワーの3ステップ(Step1:触れる,Step2:創る,Step3:知る)の視点から分析した。その結果,触れる活動(23.9%),創る活動(33.6%)に該当する事例の割合が大きく,木に触れ合う活動,木工等でのものづくり活動が多いことがわかった。 さらに,STEAM教育の視点に該当する割合を分析した。その結果,STEAMの視点が含まれない事例が多い一方で,視点が含まれる事例には(E)エンジニアリング (16.3%),(A)アート (11.5%)に該当する割合が大きく,ものづくり等の創造活動が多いことがわかった。 以上のことから,既存の木育活動においては,主に幼児や小学生を中心とした木育活動が多く,それらの活動は,主に木との触れ合いや,ものづくり等の原体験に偏っていることがわかった。次年度に向けて,STEAM木育プログラムの開発・試行を行い,SDGsの考え方に基づく評価・改良を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は,既存の木育プログラムの調査・収集を行い,STEAMの視点からのプログラムを分析することを目的とした。既存の木育プログラムに関しては,林野庁が2020年に公表している木育事例集(86事例)のプログラムの調査・収集を行った。調査・分析に関しては,知る,創る,触れるの視点から調査・収集し,これらの事例をSTEAMの視点で分析した。 その結果,既存の木育プログラムに関しては,木に触れ合う活動,木工等でのものづくり活動が多く,STEAMの視点が含まれない事例が多い一方で,(E)エンジニアリング (16.3%),(A)アート (11.5%)に該当する割合が大きく,ものづくり等の創造活動が多いことがわかった。以上のことから,既存の木育活動においては,主に幼児や小学生を中心とした木育活動が多く,それらの活動は,主に木との触れ合いや,ものづくり等の原体験に偏っていることがわかった。 以上の調査・分析の結果から,既存の木育プログラムに関する現状が確認できた。この点において,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目は,既存の木育プログラムの調査・収集を行い,STEAMの視点からのプログラムの特徴を把握することができた。2年目は既存の木育プログラムの内容に関して分析・改良した結果に基づいて,STEAM木育プログラムについて,SDGsの考え方に基づいて評価・改良することを目標とする。改良する視点に関しては,STEAMの視点での木育の再構築により,小中高一貫した横断的木育プログラムに向けて,その理論的な枠組みが構築できるようにする点,世界的に喫緊の課題になっているカーボンニュートラル実現に向けた次世代の教育として,総合的なアプローチ教材としての新たな木育が提案できる点を狙いとする。
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