研究課題/領域番号 |
22K18589
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山根 隆宏 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60644523)
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研究分担者 |
江上 弘晃 神戸大学, 附属学校部, 特別支援学校教諭 (20915201)
原田 新 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (70721132)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 知的障害 / 成人 / 余暇 / 就労 / ウェルビーイング / QOL |
研究実績の概要 |
知的障害のある成人のウェルビーイングにおいて余暇や就労の充実は重要であるが,当事者やその重要な他者の視点からそれらの実態や関連性については十分に明らかになっていない。そこで,本研究は知的障害者やその重要な他者(親,施設職員)を対象に,賃金労働に限らず広い意味で社会の一員として活動する「働くこと」及び余暇活動に対する態度に焦点を当て,混合研究法など多様なアプローチからその解明を目指すことを目的とした。 今年度は研究分担者と適宜ミーティングを行い,知的障害者とその養育者または担当職員への面接調査内容について検討した上で,測定方法が妥当であるかを確認するための予備調査を実施した。療育手帳B2相当を取得している知的障害者成人3名とその養育者に調査を実施した。調査内容はQOL質問票を中心に,就労や余暇の状況,これまでの学校教育や就労支援に関して聞き取りを行った。その結果,QOL質問票で知的障害者のウェルビーイングをある程度の領域を測定できることが確認できた。しかし,知的障害者にとって余暇や他者とのつながりをインターネット上やSNS上で得ることで生活が豊かになっている現状がみられ,同質問票が想定されている地域参加や余暇と実情が合っていないことが考えられた。このことは,インターネットやSNSによって,知的障害者の活動や余暇の幅を拡げることで,ウェルビーイングやQOLの向上につながる可能性を示唆するものであった。また,就労で他者に感謝されることや賃金を得ることが満足感につながっているようだが,本人のペースに合った余暇活動が,生活の充実度に貢献していることが伺われた。これらの成果とQOL質問票でQOLを測定する限界と,調査の修正方法についてまとめ,日本特殊教育学会第62回大会でその成果を発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
知的障害者のウェルビーイングを測定する尺度や面接法についてその妥当性を予備的に検証する必要性が考えられたたため,本調査の実施を見送るに至った。
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今後の研究の推進方策 |
調査方法は確定したため,今後は調査補助者を雇用するなどして,予定の調査協力者を確保できるように調査を円滑に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
面接調査が予定よりも遅れたため,調査に関わる費用の支出を次年度に持ち込すことになったため。
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