研究課題/領域番号 |
22K18594
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
羽場 俊広 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (60868694)
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研究分担者 |
篠原 博 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (30785506)
漆畑 俊哉 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (40610994)
岩月 宏泰 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50184891)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 拡張現実技術 / 実習教育 |
研究実績の概要 |
理学療法学生の実習教育では実習指導者の67.1%が学生の技能の不足を感じており、養成校において実体験場面を想定した新たな学習支援の方法を確立することが急務である。本研究は拡張現実(AR)技術を活用した学習支援が実習教育における学習成果を向上させ得るかを検討することを目的とする。 初年度である令和4年度の課題は「治療行為のタスク化による基準設定とAR学習支援システムの開発」である。まず実習教育として実施される客観的臨床能力試験の課題を基に関節可動域や徒手筋力検査における治療行為をタスク化し、専門技術の習得に関わる目標を明確に構造化した。その後、ARグラス(Hololens2)およびARアプリケーションの選定(Dynamics 365 Guides)を行い、アプリケーションの研修を受講することで作業工程や手順を入力したAR学習システムを開発した。アプリケーションの選定の際に当初予定していた360°カメラによる実体験場面の再現が困難(AR技術は発展段階の技術であり撮影した画像をホログラムとして再現する機能が十分ではなく、ホログラムを新たに作成する場合は高額な費用を要する)なことが判明したため導入を見送った。なお、実体験場面の再現については可能な限り実体験場面で使用する物品(ベッドや車椅子など)を環境に配置することで代用する。また、令和5年度の課題に向けてAR学習システムの使用と妥当性評価のための質問用紙を作成し、プレ実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
拡張現実技術(ARグラス)は発展段階の技術であるため、研究者自らが機器を操作しながらアプリケーションを選定する際には時間を要した。また、アプリケーションを用いて効果的に学習を支援する方法を模索する必要があったが、タスク化した治療行為について作業工程や手順を入力したAR学習システムを作成しプレ実験を実施できたため、おおむね予定通りに進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はAR学習システムの使用と妥当性の評価を使用感(usability)に関する質問紙から調査する予定である。また、ARシステムによる学習前後の評価を学生を対象としたランダム化比較試験にて実施する予定である。当初は臨床実習の前後でAR学習システムの効果を検討する予定であったが、実習が約1ヵ月半と長期間に及ぶことや学年間の学力差などの交絡因子の影響を考慮して、客観的臨床能力試験前後でAR学習システムの効果を比較することに計画を変更した。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリケーションを当初の予定より安価なものとしたことや360°カメラの購入を見送ったため物品費は見積額より減額された。また、旅費についてはアプリケーションの研修を講習として依頼したこと、謝金については研究対象者にQuoカードを謝礼品として購入したため物品費として計上された。 令和5年度では熟練者の実技場面をARグラスに投影するアプリケーションの購入と成果発表・情報収集のための旅費等に研究費を使用する予定である。
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