研究課題/領域番号 |
22K18603
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川嶋 四郎 同志社大学, 法学部, 教授 (70195080)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 法教育 / 中等教育 / 民事紛争解決 / 新科目「公共」 / 救済法 / 民事訴訟法 / 司法 |
研究実績の概要 |
本研究は、高等学校での「法教育」を具体的に促進するために、新科目「公共」における具体的な教育方法と教育教材の開発を目指し、アクティブ・ラーニングを実践的に支えることができる具体的な提言をまとめることを目的とする、日本で最初の挑戦的な萌芽研究である。2001年に公表された『司法制度改革審議会意見書』が提言するように、日本社会が事前規制型社会から事後的救済型社会への大転換する中で、重要性がクローズアップされてきた民事紛争解決のトータルなシステムについて、新科目「公共」における、「自立した主体としての国家・社会の形成に参画し、他者と協働する」ことができる「法的主体となる私たち」を涵養できる教育を実践する教材とその活用方法を、分かりやすく具体的に提示することを目的として、研究を遂行している。 これは、法学、とりわけ市民生活に密着した民事法の領域で、予防法学・救済法学の観点から、大学、法律専門職および各種機関との連携をも視野に入れ、新たな「法教育システム・モデル」を開発し、法曹等との「法教育ネットワーク・モデル」を構築し、それらを基にした実践的な学びの場を創造的に構築することを目的とする先駆的な萌芽研究である。 今年度の成果としては、(単著)『日本史のなかの裁判:日本人と司法の歩み』(239頁)法律文化社、2022年10月、(監修)『パラリーガルの実務感覚から学ぶ民事訴訟・執行・保全』(著者は、山本真著)日本評論社、2023年3月などを公刊することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先に述べたように、2022年度は、いくつかの研究成果を公刊することができたことから、本研究は順調に進行している。 上記のほか、(単著)「裁判官の事実認定と憲法保障-『二段の推定』法理?の慎重な適用を希求して」Web日本評論https://www.web-nippyo.jp/25584/、「『民事裁判のICT化』と訴訟記録の閲覧等-『民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案』を契機として」同志社法学425号25-76頁、「自由心証主義の健全化と裁判所の役割について-ある金融紛争を素材として」同志社法学426号1-41頁 、「補助参加人の忌避申立権についての一考察-民事訴訟における公正確保の探求を目指して」同志社法学429号315-357頁、「コロナ禍における『法的地域セーフティネット』の形成に向けて-『民事裁判のICT化』と弁護士・地域金融機関等の役割を中心に」 金子由芳編『コロナ禍の中小企業と法変化-揺れ動く日本・アジアの公助と契約文化』94-121頁 神戸大学出版会、「近時のベトナムにおける合意型紛争解決手続の法展開-法整備支援、ADRおよび『法の支配』を基軸として」同志社法学431号1-73頁、「法科大学院創設後における臨床法学教員等の研究者養成・概論」法曹養成と臨床教育15号211-218頁等も公刊することができたので、研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年同様、高校における出前模擬授業を実施し、日本の裁判所や図書館における法の実践と法教育資料に関する調査を行う。 また、法教育の教材や論文にまとめ、公刊に向けた準備をした。また、従前の研究中間報告なども行い、ひいては、民事裁判への改革提言案等の作成なども行いたい。 昨年度と同様に、様々な形で研究メッセージを発信したい。
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