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2022 年度 実施状況報告書

意思決定エージェントとしての市民を育成する変革的リスクリテラシーの指導法と評価法

研究課題

研究課題/領域番号 22K18625
研究機関神戸大学

研究代表者

坂本 美紀  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90293729)

研究分担者 村山 留美子  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20280761)
山口 悦司  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (00324898)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードリスクリテラシー
研究実績の概要

市民が主体的で能動的なエージェント(共同体における行為主体者)として社会問題の解決に参与するためには,多様な人々のリスクに対する考え方や価値観の対立を乗り越えて合意形成をはかる意思決定と,そのための新しいリテラシーが求められる。本研究は,社会的視点からの問題解決,すなわち,利害関係者の合意形成につながる意思決定を行うための思考・判断・表現の能力を「変革的リスクリテラシー」と定義し,その育成に資する指導法と評価法の開発を目的とする。2022年度は,市民がエージェントとして社会問題に対する提案型意思決定を遂行する際に求められるリスクリテラシー,具体的には,ゼロリスク志向,リスク対ベネフィットのトレードオフ,リスク対リスクのトレードオフ,リスク認知のバイアス等について,その理論化を中心に研究を進めるとともに,リスクリテラシーを涵養する教育プログラムを開発した。学際的な共同研究体制により開発した教育プログラムでは,ゲノム編集技術を応用した食品の開発や利用をめぐる問題等を題材に,ゲノムや遺伝の仕組み,遺伝子組換えとゲノム編集の違いといった科学的知識の学習と,当該の科学技術問題におけるリスクとベネフィットの理解,多様な人々のリスクに対する考え方や価値観を踏まえて合意形成をはかるプロセスの体験を,主要な活動として設定した。併せて,学習を支援する資料や,当該の科学技術問題に対する学習者の意見やリスク重視傾向を外化させるワークシート,理解度確認の課題などを,専門家ならびに理科を専門とする教員の監修のもとに作成した。開発した教育プログラムの詳細について,日本科学教育学会研究会研究報告の論文として公表した。教育効果については,実験授業の際に収集した質的・量的データにもとづき,現在分析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に計画していた研究内容がほぼ達成できたことが理由である。
市民がエージェントとして社会問題に対する提案型意思決定を遂行する際に求められるリスクリテラシーについて,その理論化を進めるとともに,リスクリテラシーを涵養する教育プログラムを開発することができた。このように,初年度において,リスクリテラシーの理論化と教育プログラムの開発が実施できたことは,当初の研究が順調に進展していると判断する根拠である。さらに,これらの成果を日本科学教育学会の研究報告の論文として公表できたことも,研究の進捗状況がおおむね順調であることを示している。

今後の研究の推進方策

研究実践フィールドにおける実証実験で収集した効果測定用のデータを集計・分析し,開発した教育プログラムの成果評価を進める.評価により明らかになった問題点等から,教育プログラムでの指導内容や教材を改良して,さらなる実証を行う。教育プログラムの成果評価を通して,指導のデザイン指針および評価枠組みの精緻化を繰り返し,変革的リスクリテラシーの指導法と評価法を提案する。

次年度使用額が生じた理由

【理由】新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて,当初計画の一部を十分に実施することができなかった.そのため,研究成果公表のための予算,文献資料の収集とデータベース化の継続的実施のための予算が必要になったため.
【使用計画】物品費(図書費など),成果発表旅費,その他に使用する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 科学技術の社会問題としてのゲノム編集を題材とした小学生向け教育プログラムの開発2023

    • 著者名/発表者名
      口羽駿平, 山口悦司, 坂本美紀, 山本智一, 原愛佳, 近江戸伸子, 俣野源晃, 澁野哲
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 37 ページ: 75 - 78

    • オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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