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2022 年度 実施状況報告書

子どもを対象にしたメディア・エンパワメント強化プログラムの開発および評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K18635
研究機関早稲田大学

研究代表者

竹中 晃二  早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80103133)

研究分担者 上地 広昭  山口大学, 教育学部, 教授 (60367084)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワードメディア・エンパワメント / 子ども / 衝動性制御 / 感情調整
研究実績の概要

本研究の目的は、急速に進むICT関連技術・需要の高まりの影で、子どもたちが抱えるメディア利用関連の弊害について、エビデンスに基づく対策を検討し、その社会実装を通じて子どもたちに健全なメディア利用を促す支援を行うことである。メディア・エンパワメント強化とは、子ども自身の考えや感覚によって、メディアの持つ影響力に気づき、メディアに関わる行動を自身で制御できるようにする能力を強化することを意味する。その核となる要素は、子どもがメディア利用に伴う危険性に気づきながら、メディア接触に伴う「自制心」や「感情調整能力」を高めることである。本研究が挑戦的研究としての意義がある理由として、1)子どものメディア利用に関係する諸問題について、一時の取り締まり的対策ではなく、恒常的な対処に焦点を絞っている点、および2)メディア利用に関わる諸問題の原因を子どもの衝動性や感情表出に求め、それらの対処として自制心や感情調整能力の強化に着目している点である。
令和4年度には、介入プログラム開発のためのフォーマティブ・リサーチとして、児童における現在のメディア利用状況、種々の問題への態度、およびメディア利用に伴って生じる衝動性に対して感情調整を行う対処方略を明らかにするために以下にあげる2種類の調査を実施した。調査1では、ゲーム、ソーシャル・ネットワーク・サービス、web のメディア利用を毎日熱心に行っている小学生を対象にオンライン会議(Zoom)によってインタビュー調査を行った。調査2 では、4・5・6年生男女児童を対象に,Health Action Process Approach における動機づけ局面について、主に自由記述による調査を行った。以上2つの調査の結果を精査し、令和5年度に開発・実施する介入プログラムに盛り込むつもりである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度はコロナ禍での研究実践であるために、対象となる学校側の制限が多く見られた。研究開始前には、複数の小学校への調査や介入を計画していたものの、対象となる小学校の数が限定的であった。しかし、限定された小学校での調査であったものの、学校長をはじめ多くの教員が本研究の必要性を理解し、児童が実施する質問調査だけでなく、直接的な聞き取り調査も実施することができた。その結果、現在の児童にとって、メディアの関わり方や感じ方、また衝動性が高まる前後関係や対処法が明確になり、令和5年度に実施予定の介入プログラムの準備が整った。

今後の研究の推進方策

令和5年度では、家庭、学校および地域のそれぞれにおいて、普及啓発できる教育プログラムの開発および効果の検討を行う。これらのプログラムでは、家庭において保護者ができる効果的な声がけや約束事の遵守、時間の管理など具体的に実践可能な内容、学校において教師が負担感なく教授できるカリキュラム開発、および地域でできるポピュレーション・ワイド・キャンペーンの実施を構想している。具体的には、教育教材として衝動性制御のためのゲームの開発、ナッジ理論を用いた家庭内教材の開発に加えて広く社会に広報できるリーフレット、教育冊子の開発やホームページの開設を予定している。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において対象とする小学校の受け入れが限られたために、当初予定していたプログラム教材の準備ができなかったために繰越費用が発生した。次年度には、次年度分と合わせて謝金および印刷費にあてる。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (9件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 訪問介護員のコミュニケーション行動から考える職場支援の課題2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺紀子・竹中晃二
    • 雑誌名

      人間科学研究

      巻: 35 ページ: 53, 62

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 訪問介護員の離職意図に及ぼすコミュニケーション能力と心 理社会的要因2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺紀子・竹中晃二
    • 雑誌名

      産業・組織心理学研究

      巻: 36 ページ: 3, 15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 感情調整および行動変容技法を用いたパワハラ防止リーフレットの開発2022

    • 著者名/発表者名
      竹中晃二・上地広昭・Ong Wei Ling,石川菜々子・佐藤ちはる
    • 雑誌名

      ストレスマネジメント研究

      巻: 18 ページ: 2, 7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Review of health promotion programs for musicians to prevent music-playing related health problems2022

    • 著者名/発表者名
      Ong, W. L., & Takenaka, K.
    • 雑誌名

      Journal of Health Psychology Research

      巻: 34 ページ: 67, 78

    • DOI

      10.11560/jhpr.200917004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 心身の健康増進を狙ったeHealth介入の効果2022

    • 著者名/発表者名
      上地広昭・島崎崇史・竹中晃二
    • 雑誌名

      ストレスマネジメント研究

      巻: 18 ページ: 25, 34

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フォーマティブ・リサーチに基づく健康づくり補助資料の開発:夫婦でスモールチェンジ健康づくり2022

    • 著者名/発表者名
      竹中晃二・島崎崇史・小沼佳代
    • 雑誌名

      Journal of Health Psychology Research

      巻: 35 ページ: 1, 9

    • DOI

      10.11560/jhpr.211130009

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] COVID19禍におけるメンタルヘルス不調の予防を目的としたセルフケア活動実践の勧め2022

    • 著者名/発表者名
      竹中晃二
    • 雑誌名

      バイオフィードバック研究

      巻: 49 ページ: 45, 53

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 歩行活動習慣者における実行意図と特徴2022

    • 著者名/発表者名
      吉田椋・竹中晃二
    • 雑誌名

      Health and Behavior Sciences

      巻: 21 ページ: 13, 23

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 実行意図手法を適用した身体活促進アプリケーションの行動変容介入2022

    • 著者名/発表者名
      吉田椋・竹中晃二・米山暁夫・Hampus Hammarlund・Jaakko Hyry・本庄勝
    • 雑誌名

      Health and Behavior Sciences

      巻: 21 ページ: 1, 11

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Experiences Concerning Health and Well-Being among Music Students from Tertiary Music Institutions in Singapore: A qualitative study2022

    • 著者名/発表者名
      Ong., W. L., & Takenaka, K.
    • 雑誌名

      Journal of Music, Health, and Wellbeing

      巻: summer ページ: 1, 14

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 訪問介護員を対象としたコミュニケーション能力尺度の開発2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺紀子・島崎崇史・竹中晃二
    • 雑誌名

      Journal of Health Psychology Research

      巻: 34 ページ: 39, 50

    • DOI

      10.11560/jhpr.201211145

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] スマートフォンの使用制御を目的としたコミットメント介入が日常行動に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      上地広昭・竹中晃二
    • 雑誌名

      山口県体育学研究

      巻: 65 ページ: 34, 39

    • 査読あり
  • [学会発表] BAHD防止を目的としたvolitional help sheet の開発2022

    • 著者名/発表者名
      竹中晃二・上地広昭・青野博
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] シンポジウム:web利用の行動変容型介入「健康心理学研究に使わない手はない」2022

    • 著者名/発表者名
      竹中晃二・吉田椋・石川菜々子・山蔦圭輔
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] Volitional help sheetを適用した身体活動促進アプリケーションの開発および評価2022

    • 著者名/発表者名
      吉田椋・石川菜々子・青木陽介・磯貝さやか・和泉良太・大道峻・小島拓朗・竹中晃二
    • 学会等名
      第2回日本ライフスタイル医学会学術集会
  • [学会発表] 身体活動促進アプリケーション介入:実行意図手法の適用2022

    • 著者名/発表者名
      吉田椋・竹中晃二
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] 在日中国人留学生のメンタルヘルスについての実態調査2022

    • 著者名/発表者名
      周麗韵・竹中晃二
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] 妊産婦版ポジティブ・メンタルヘルス尺度の開発2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤ちはる・石川菜々子・竹中晃二
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] 妊婦における身体活動の行動・対処計画尺度の開発2022

    • 著者名/発表者名
      石川菜々子・ 竹中晃二.
    • 学会等名
      日本健康心理学会第35回大会
  • [学会発表] 妊婦のライフスタイルに関するセルフ・エフィカシー尺度の開発および活用2022

    • 著者名/発表者名
      石川菜々子・島崎崇史・ 竹中晃二
    • 学会等名
      第2回日本ライフスタイル医学会学術集会
  • [学会発表] Music Performance Anxiety Scale (MPAS-JP) for Instrumental Musicians in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Ong, W. L., & Takenaka, K.
    • 学会等名
      第2回日本ライフスタイル医学会学術集会
  • [図書] ヤング中高年 人生100年時代のメンタルヘルス2022

    • 著者名/発表者名
      竹中 晃二
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      集英社
    • ISBN
      978-4-08-721231-0
  • [備考] 早稲田大学人間科学研究科竹中研究室

    • URL

      http://takenaka-waseda.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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