研究課題/領域番号 |
22K18658
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
永澤 美保 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (70533082)
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研究分担者 |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | イヌ / 家畜化 / 交換 / ホルモン |
研究成果の概要 |
本研究ではイヌの交換行動が、自他の価値理解に基づいて行われているかを明らかにすることを目的とした。さらにイヌの交換行動が、家畜化の過程における内分泌系の変化に基づいた、認知的な協力行動の芽生えであると仮説を立てた。実験の結果、交換する物の価値に応じて、イヌの交換行動に要する時間に違いが見いだされた。しかし、交換対象であるヒトにとっての価値に応じて示す行動には個体差が大きく、明確な傾向はみいだされなかった。一方、交換行動に要する時間とイヌの月齢は負の相関、尿中オキシトシン濃度とは正の相関を示した。交換行動において、価値の理解や相手とのかかわり方に経験や内的環境が関与していることが示唆された。
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自由記述の分野 |
動物行動学、比較認知学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒト社会をより大きく発展させたのは、自集団内での情動的な結びつきを越え、他集団との交流を可能とした認知的な価値判断に基づいた広範な協力行動であり、その代表的な行動が「交換」である。本研究では、ヒトと同様に寛容性による選択圧を受け進化し、日常的にヒトと物の交換を行っているイヌが、自他の価値理解の上に交換を行っているかどうかを明らかにすることを目的に行っている。イヌとヒトの間の交換行動が価値の理解のもとに、内分泌の制御によって行われていることを明らかにすることは、ヒト社会においても、情動による分断を脱し、認知的つながりによる持続可能で発展的な社会の構築への糸口となることが期待される。
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