研究課題/領域番号 |
22K18663
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
廣瀬 智士 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (70590058)
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研究分担者 |
大内田 裕 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80510578)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 発達障害 / 個人差 / 機械学習 / 運動 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
自閉症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害などの子供の知的・発達障害は年々増加傾向にあり、大きな社会問題となっている。知的・発達障害を抱えた子供の指導において、早期に該当する子供を発見し、適切な介入や支援環境の整備を行うことが本人の自立を可能にする重要な因子である。しかし、現在のところ知的・発達障害の初期発見は、教師、親や本人の主観的な気づきに依存しており、とりこぼしの可能性が懸念されている。本研究では、運動中のヒトを撮影した動画から個人の運動の特徴を数値化する画像処理技術を開発し、この技術を子供の走動作の動画に適用することにより、発達障害の早期発見を可能にする自動的かつ客観的なスクリーニング検査を実現する。具体的には、走動作の動画から関節運動の同定、関節運動から個人の特徴を抽出し、その特徴に基づき障害の有無を推定する分類器を作成する。 今年度はまず、学習済みの既存のニューラルネットワークを用いて、50m走を行っている際の撮影映像から、走動作のキネマティクス(各関節の動き)を取り出すことを試みた。協力を得られた小学校のグラウンドで所属の小中学生の走動作の撮影を行った。ここから関節運動(キネマティクス)を抽出する解析を行ったが、太陽光の影響で明度が場所により大きく変わる屋外環境である点、長距離の移動を伴う運動であり、走路全体を通して大きな画角で撮影することが困難であった。このため、撮影位置、カメラの撮影パラメタなどを変更して、キネマティクスの抽出が可能である撮影方法を探索した。また、ニューラルネットワークのファインチューニングにより、上記悪条件下での撮影映像からキネマティクス抽出が可能か試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は、キネマティクスの抽出に関しては、既存の方法で簡単に可能であると考えていたが、対象にした50m走では、被写体の位置が大きく変わる、太陽光下での撮影、という二つの条件が重なり、既存のニューラルネットワークでのキネマティクス抽出が想像以上に困難であった。このため当初計画に比べて研究の進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終目標は、市販のカメラ映像で撮影した50m走動画からヒト姿勢を推定し、その推定した動作情報から個性を割り出すものである。今後は以下の二つの方向から研究を進める。一つ目は、引き続き撮影方法の調整やニューラルネットワークのチューニング、また、最新の方法を使ってうまく走行中の姿勢推定が可能にする方法を探る。同時に、カメラではなく、比較的安価かつ持ち運び可能な市販の慣性センサーを用いて姿勢推定を行う、対象をトレッドミル上での走動作に切り替える、という姿勢推定が比較的容易にできる方法を用いて、姿勢推定後の研究計画を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は多数の被験者を対象とした走動作の計測に至らなかった。また、新型コロナウイルス感染症の脅威を考え、国内・海外出張を控えた。このため、使用しなかった金額を次年度に持ち越す。 出張費は、研究計画の一部変更により必要となるトレッドミル等の機器購入に充てる。実験費用として計上していた分は今年度の実験に用いる。
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