研究課題/領域番号 |
22K18666
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
和田 真 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究室長 (20407331)
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研究分担者 |
高野 弘二 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究員 (00510588)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / 意識 / 感覚過敏 / 統合情報量 |
研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)のある人では、定型発達の人では意識に上りにくい低次感覚野での感覚情報が無選別に意識に上ってしまいがちであり、そのことが感覚過敏などの感覚の問題につながるのではないかということを仮説としている。その上で、ニューロフィードバック等による介入の可能性を検討する。したがって、本研究では、まず脳機能計測にもとづいて計算される意識の状態と、感覚の問題の種類と大きさを比較することで、この仮説を検証する。予算の採択を受けて令和4年度は、感覚の問題の主観的な困りごとに関する基礎的な調査に加えて、研究分担者・協力者と議論を行い、作業仮説について、検討するとともに実験課題・撮像方法について議論した。共同研究者との議論を経て、令和5年度には実験課題・撮像手順を明確にし、予備実験を開始した。 一方、感覚の困りごとに関する調査に関しては、困りごとの内容とセルフケアについて成果をまとめることができた。感覚の問題として、日常生活の中で発達障害者が最も困っているのは、聴覚の問題であるものの、発達障害者のうちASD者は、触覚の問題を最もつらいと感じている人が少なくないことが判明した(Wada et al., 2023 Front. Psychiatry)。一方、まぶしさ(視覚)やうるささ(聴覚)に関しては、サングラスや耳栓等で比較的対応可能な反面、聞き取りの困難や固有感覚の問題等は対応が困難であることが明らかになった。以上の成果をまとめて、セルフケアが可能な問題と難しい問題についての質的・量的研究を論文発表した(Wada et al., 2023 Front. Child Adolesc. Psychiatry)。令和5年度には、感覚の問題同士間の関連の調査に着手し、質問票を精査した。さらに、感覚の問題と体調・その他生理指標との関連についても調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、感覚の問題の主観的な困りごとに関する基礎的な調査に加えて、イメージング実験について研究分担者・協力者と議論を行い、作業仮説について、検討するとともに実験課題・撮像方法について議論した。研究課題採択の後、共同研究契約の締結を行った。令和5年度には、実験課題・撮像方法について今一度精査し、予備実験を開始した。一方、感覚の困りごとに関する調査に関しては、困りごとの内容とセルフケアについて成果をまとめることができた。さらに感覚の問題同士間の関連性や、体調・その他生理指標との関連についても調査を開始するなど、研究の幅を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4・5年度の調査・議論、予備実験を踏まえて、データ収集を行い、感覚情報の意識に上りやすさと感覚の問題との関連を調査する。これを示唆する結果が得られた場合には、実際に感覚刺激を与えてそれに対する応答や神経活動を評価する実験を行う。さらにその治験を踏まえて、ニューロフィードバックに応用することで、感覚の問題を軽減するための革新的な支援手法開発へつなげていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は、研究の進め方について研究分担者・協力者と議論を改めて行い、予備実験を開始した。さらに感覚の問題の主観的な困りごと間の関連を調べるための調査票を精査した。アンケート調査や生理指標の計測を優先して実施したため、本格的なイメージング実験は令和6年度に実施することになった。令和6年度には、本格的な実験を開始する。繰越と合わせて約100万円を、実験解析な機材・ソフトウェアの購入に費やし(実験・解析用PC、解析のための開発環境等)、100万円を実験参加者・技術協力員への謝金、20万円を旅費、その他を論文の掲載料や英文校正など研究成果に必要な費用に当てる計画である。
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