研究課題/領域番号 |
22K18671
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 誠 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (70312634)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 相対論的流体方程式 / 初期値問題 / 大域可解性 / 偏微分方程式論 / 一様等方時空 |
研究実績の概要 |
本年は、相対論的流体方程式との比較のために、光速無限とした非相対論的極限方程式についての考察から始めた。エネルギー・ストレステンソルについての幾何学的な考察から偏微分方程式論的特徴を定式化することに取り組み、空間的変動が偏微分方程式に与える影響について考察した。空間的変動としては、一様等方計量を基本として研究を進めた。特に、ド・ジッター計量の特徴的性質である指数関数的膨張あるいは収縮が、流体に与える影響を考察した。この指数的変化が、ベクトルの自己相互作用を大きく変化させることが明らかになってきており、膨張性への解析が進んだ一方で、収縮性への解析性については今後考察を行う。ド・ジッター時空を背景時空として初期値問題を考察した。まず、空間計量が平坦である場合を考察し、小振幅時間大域解の存在を考察し、その後、空間計量が負の場合を考察した。平坦ではない時空計量を考察した場合のヘルムホルツ射影の定式化について考察した。本研究の場合、スカラー場ではなくベクトル場であることから、微分作用素に接続係数が現れるため、ユークリッド空間における様々な手法の展開が必要となった。特に、ベクトルに対するラプラシアンの作用を考察した。文献調査により、熱方程式への帰着方法が、解法として有効と考えられるため、今後に詳細を考察する。研究手法としては、エネルギー法に基づいた線形評価の構成に取り組んだが、空間計量が平坦ではない場合に空間計量からくる交換子評価が必要となった。本研究は、一般相対論の研究を背景としており、そこでの典型的な双曲型方程式の一つである非線形クライン・ゴルドン方程式の研究に関連している。学会において関連する途中経過を発表すると共に、研究動向と研究手法における情報収集を行った。また、研究交流の活性化を通して課題解決を図ることを視野に、研究集会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に沿って進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画に沿って研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、研究集会への参加および開催を計画していたが、新型コロナウィルス感染症に関連して、外国人研究者の招聘と海外出張に支障が生じた。
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