今回の手法を応用することで、モータータンパク質本来の環境である細胞内で物理的性質を明らかにすることが可能である。モータータンパク質のアミノ酸変異が輸送速度や輸送力などの物理量の変化に繋がり、物流障害からさまざまなヒト疾患を引き起こす。特に、長い軸索があり能動輸送が重要な神経細胞では、物流障害から神経細胞死を引き起こすこともある。アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患では、モータータンパク質の変異による物流障害が指摘されているため、今回開発した極値統計学による解析手法を用いることで、モータータンパク質の変異に起因する神経疾患の分子メカニズムの解明への寄与が期待される。
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