研究課題/領域番号 |
22K18683
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | カイラル超伝導 / 円偏光空洞共振器 / マイクロ波 / トポロジカル超伝導 / マヨラナ粒子 |
研究実績の概要 |
近年、超伝導秩序変数が実部と虚部からなり、時間反転対称性を破る形で縮退したカイラル超伝導体の試料表面にマヨラナ粒子が現れることが分かり、トポロジカル量子計算への応用の観点から大きな注目を集めている。現在、カイラル超伝導体の候補物質として、ウラン系超伝導体やカゴメ格子超伝導体が精力的に研究されており、μSR測定やKerr効果測定によって自発磁化の検出が報告されているが、カイラル超伝導実現の是非についてはコンセンサスが得られていない。そこで本研究では、マイクロ波領域の円偏光を用いて、カイラル超伝導体で実現が期待されるカイラル・エッジ流による自発磁化を微小試料でも高感度に検出できる円偏光空洞共振器を開発し、カイラル超伝導実現の是非を徹底的に検証する。 本研究では、低温で動作するマイクロ波円偏光空洞共振器を用い、カイラル超伝導体の候補物質(ウラン系超伝導体UTe2やUPt3など)に対して、時間反転対称性の破れに伴う自発磁化のカイラリティ(自発電流が右回りに流れるか左回りに流れるか)を高感度に検出することを目指す。具体的には、透過型の円筒空洞共振器に位相遅れを導入できるハイブリッド・カップラーを組み合わせ、マイクロ波の出入口を入れ替えることで右回り円偏光と左回り円偏光を選択的に生成する。本年度は、室温で動作する円偏光空洞共振器の試作機を用いて、YIGの測定を行い、マイクロ波円偏光空洞共振器の動作確認を行った。次年度は低温で動作する円偏光空洞共振器を構築し、カイラル超伝導体の候補物質に対して、実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、室温で円偏光空洞共振器の動作を確認することができ、次年度以降、カイラル超伝導体の測定を行える状況にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
カイラル超伝導体で期待される微小なカイラリティの検出には共振周波数の測定分解能が重要となるため、マイクロ波共振器のクオリティ・ファクター(Q値)を向上させつつ、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、国内外の会議への参加を予定していたが、コロナ禍において、オンライン参加が可能となったため、旅費が必要とならず、差額が生じた。翌年度は国内外の会議に積極的に参加し、成果発表および最新の情報収集に努める計画である。
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