本研究では、時間反転対称性の破れたカイラル超伝導体の候補物質に対して、時間反転対称性の破れに伴う自発磁化を高感度に検出するために、極低温で動作するマイクロ波円偏光空洞共振器の開発を目指している。カイラル超伝導体で期待される微小なカイラリティの検出には共振周波数の測定分解能が重要となるため、マイクロ波共振器のクオリティ・ファクター(Q値)を向上させることが必要不可欠である。今年度は、申請者がこれまでに開発してきた誘電体ルチルによる共振器を用いて、数十万程度のQ値をもつ円偏波。また、円筒空洞共振器に位相遅れを導入できるハイブリッド・カップラーを組み合わせ、マイクロ波の出入口を入れ替えることで右回り円偏光と左回り円偏光を選択的に生成できるようにした。入射波・透過波の切り替えは、ベクトルネットワーク・アナライザー上で操作できるようにした。その上で、テストサンプルとして、磁場中でビスマスのマイクロ波領域のホール伝導度測定を行い、マイクロ波領域において、ホール伝導度を高精度に測定できることを実証し、その結果を論文投稿(arXiv:2404.09662)した。
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