研究課題/領域番号 |
22K18685
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80422377)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ジャイアントベシクル / マイクロ流体デバイス / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、走化性をもつ遊走性単細胞生物の化学モデル(ここでは人工バクテリアと呼ぶ)を創出することを目的とする。原始細胞が進化の過程でどのように駆動力を得て、走化性という高次機能を獲得してきたかという未解明の謎に対し応募者は、細胞生物学的手法とは相補的に、構成的アプローチとして、素性のわかった有機分子の水中での構造形成と反応の時間発展に立脚した人工バクテリアをつくり、これが実験室進化によって走化性を獲得する時空間発展を計測技術と分析技術を駆使して明らかにすることを着想した。二年目は、人工バクテリアをその場観察するための進化リアクターでの人工バクテリアの変形誘導および画像解析法の開発に従事した。人工バクテリアは進化リアクター内部で動き回る際にチューブ状に変形できることが判明した。これは,外部からの添加剤によって膜張力が減少したためと考えられる。人工バクテリアが球形から異方的な形状へ変形することから,位置づれを補正しつつデコンボリューションできる3次元イメージ構築プログラムの改良を行った。また、異方的な形状のジャイアントベシクルを長時間観察できる進化リアクターの開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、人工バクテリアを創出することを目的として、ジャイアントベシクルが走化性を獲得する時空間発展を計測技術と分析技術を駆使して明らかにすることを目指している。このとき、ジャイアントベシクルの動きを精確に顕微鏡像から抽出する必要があり、応募者がこれまで取り組んだことのない画像解析法としての機械学習と転移学習の方法論を導入することとした。二年目で、ジャイアントベシクルの異方的な形状への変化を誘導できたことから,添加剤の分子設計の目途がたった点で、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、ジャイアントベシクルの構成分子ならびに添加剤の有機合成を進めつつ、進化リアクターとなるマイクロ流体デバイスの開発に注力し、人工バクテリアの運動を継続して観測できる双方向観察実験プラットフォームを実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究申請時に予算に見込んでいた共焦点レーザー走査型顕微鏡用のレーザー光源が、見積り時と価格や納期が変更となったために購入を見送り,同等の仕様の光源や光学系を見直した。これにより,最終年度に進化リアクターの設計も変更することで,人工バクテリアの観察に適した光学系構築のために予算を執行する。
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